第35話「決断の空」

 Side クリス・ヴァレンタイン


「何時にもまして敵の数が多い!!」


『それだけじゃない。迎撃に来る戦力も少ないんだ!!』


「ディセントに滅ぼされるか、銀河連邦とのいざこざで滅ぶかだもんな!!」


 俺達は愚痴交じりに空中でディセントを迎撃していく。

 綺羅 セイジも口では強気だが何だかんだ言って調子が悪そうだ。

 まあ俺もだけどな。


『お待たせしました』


『ちょっと水臭いわよ!!』


 オリヴィアやインリンがやって来た。


 それに続いて――御剣 アイナ、ティファニー・ゴールド、シャルティーナ・マーティン、ナージャ・ノヴァオフ、ネーナ・シュナイダーと綺羅 セイジの周りの女の子勢ぞろいだ。


『助太刀に来たわヨ?』


 そう言ってティファニーのエクスアーマーが大火力で吹き飛ばす。

 他の専用機持ち達もそれに続く。


「お前らはいいのかよ? こんな戦いしても無駄なのかも知れないのに――」


『私はやっぱりセイジの傍がいいから!!』


 と、御剣 アイナが言った。


『それにさ、セイジも大事だけど――責任とかあるからさ、最後まで付き合うよ』


 そう言ってシャルティーナ・マーティンが的確な射撃で次々と敵を撃墜していく。


『そう言う事。あーあ、お姉さん――工作員として失格だったわね』


 何か諦めたようにナージャ・ノヴァオフが言う。


『せめて最後まで軍人としての務めを果たす。それだけだ』


 ネーナ・シュナイダーがティファニーのエクスアーマーに匹敵する大火力で敵を吹き飛ばす。

 

 だがこれも一時的なものだけ。

 やはりと言うか皆士気が低い。

 このままでは戦線が突破される――


『クリスさん何やってんですか』


「お前らこそなにしに来たんだ!? つか学園から去った筈だろう!?」


 学園を去った仲間達も再び空を飛ぶことを決めたようだ。


『それなんですけど、なんか居心地が悪くて――』


『アークの学生、外じゃ扱い酷いもんでして――』


「そうか……」


 人間とはこうまで業が深いのか。

 イヤになってくるな、ほんと。


「ともかく来たからにはしっかり働けよ!!」


『了解!!』


『任せてください!!』


 たく。

 俺も含めてバカばっかだな。


 などと思っていると今度は大型のディセントが複数体やってくる。

 今この状況下で、専用機持ちが沢山いるとは言え大型は厳しい。


(こう言う時、あの皇子がいればな)


 演説を行って地球全土に向けてロボット物のアニソンを歌いきったあの皇子が何故だかとても懐かしく感じた。

 同時に自分はあの皇子を好ましく感じていたんだと思った。


 ――などと思っていると。


『空間転移反応!! ワープアウトしてくる!?』


 同時に赤い真っ赤なスーパーロボット、グランディスが現れた。

 

『どうも大文寺 リョウマ様とグランディスの登場でい!!』


「グランディス!? お前今迄どこに!?」


『銀河連邦とのいざこざに巻き込まれるからって帝国の戦艦から放り出されて、今迄地球の研究機関で缶詰めだったんだ――んでイヤになったからこうして抜け出してきた』


「そうか――」


『それと、あの皇子がこの学園の事を頼むってよ』


「え?」


『何か分からないけどあの皇子、この学園の事が好きみたいだぜ、よほど慕われてんだなお前ら』


 流石にポカーンとなった。

 自分達そんな良いところアピールしましたっけ? みたいな。

 たぶん皆そんな感じだ。

    

『ともかく行くぜ!!』


 大型のディセントにロケットパンチをお見舞いする。

 流石50m級のスーパーロボット。

 攻撃力が桁違いだ。 

 

(このままいけるか?)


 そう思った。

 などと思っていると学園の外から、そして宇宙から部隊が降下してきた。


 地球の部隊と。


 そして銀河連邦だった。

 

「手助けしに来てくれた雰囲気じゃなさそうだな――」


 戦闘中の俺達を取り囲むようにして部隊を展開する。


『われら銀河連邦はその赤いロボットの技術に興味がある。よってその赤いロボットを頂ければ学園に手出しをしないと約束しよう』


 ほらな……


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