第30話「日本の大地へ」

 Side ディノ・ゼラヴィア


 綺羅 ユキナ達、同伴の元で日本の観光ツアーがはじまった。

 エクスアーマー協会の本部や開発施設なども見学予定である。

 他にも総理大臣との会食もある。


 相変わらず某二大大国からのラブコールもうるさいが、「バカめ」とでも送っておこうかともディノは考えている。


 前も語ったがゼラヴィア帝国はやる時はやるのだ。


 必要とあらば地域国家の集まりの田舎大国を焼き払うことなど造作もない。

 銀河戦国時代を生き抜くためにはある程度の非情さも必要なのである――とか言う割には優しい皇子である。

 

 本当に非情な人間は惑星全体に平和を求めたり、歌を聞かせたりはしないだろうが……これが今後どう影響するかは分からないが――まあ、何とかなるでしょうと、ちょっと楽観的なディノ皇子だった。


 それはさておき、日本名所巡り。


 VIP扱いされながらの名所めぐりは正直気を遣うが、転生してからこんなだったので慣れていた。

 まあ本音を言えばノンビリと観光としゃれ込みたいのだが立場が許されないのだ。

 そこは我慢である。


(正直言うと秋葉原でゲキガン〇ー3を大音量で鳴らしてお出迎えとか覚悟してたんだけどな……無難な方向で纏めたか)


 選択肢一つ間違えればそれだけで政治、官僚のクビが飛ぶのだ。

 そんな国を挙げての大勝負は出来ないだろう。


 その事にホッとしつつディノは日本政府の観光ツアーを楽しんだ。

 


 東京タワー。

 某異世界に繋がっているかどうかは知らない場所。

 そこで副官のジーナと会話する。


「今回は日本政府大人しいですね」


「だね~まあ正直言えばこれまでが異常だったのさ」


「はあ……それで銀河連邦は仕掛けてくるでしょうか?」


「必ず仕掛けてくるよ」


 ディノは断言した。


「例えば自分の留守中に旗艦へ攻撃を仕掛けてきたり――自分の手を汚さずに第3者を通して危害を加えたり――」


「もしくは今みたいに、日本の護衛側に銃を突き付けられると――」


 東京タワーの最上階の展望台。

 そこに武装勢力が綺羅 ユキナごと銃を構えていた。

 外ではエクスアーマーも窓越しに此方に銃を向けている。

 

 地上には銀河連邦製の人型機動兵器が展開していた。


 そしてツカツカと歩み寄ってきたのは白い制服。

 SF物の宇宙戦艦のクルーみたいな衣装、軍服を着た銀河連邦の制服。

 美女二人組だった。


 一人は長い紫髪。

 もう一人は短い黒髪。

 両方ともスタイルはよく、顔も整ってはいるが油断ならない女狐のようなオーラを出している。


「初めまして。銀河連邦のリオナ・クレーデル大佐です、ディノ皇子」


 と、長い紫髪の女の方がニコッと笑みを浮かべた。

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