第39話「最後は武力で応じる」
Side リオナ・クレーデル
演説の内容を聞いた。
演説の是非は正直よく分からない。
結局は民衆や将兵に受けるかどうか。
心に響くかどうかも重要な点だ。
分かるのはダメ押しで悪の地球連邦、それを守る銀河帝国みたいな図式がより印象深くなった点も見逃せない。
こう言う分かり易さと言うのは重要である。
それに引き換え我が銀河連邦は――
「やーめた。適当なところで切り上げて撤退するわよ」
「ですが――」
「ですがなに? 勝ち目のない戦いに付き合って死ぬつもり?」
「それは――」
戦いその者は圧倒的に此方が不利だ。
ガンガン機動兵器が落とされている。
地球軍の連中も役に立たない。
練度の違いもあるが士気の違いだろう。
それに装備の差も加われば勝てる戦いも勝てはしない。
戦術的にも戦略的にも敗北だ。
(問題は総司令がどう考えるかね)
☆
Side ディノ・ゼラヴィア
「脆いな――何かの罠か?」
正直苦戦を強いられると思ったのだが呆気ない程に敵は総崩れを起こしている。
銀河連邦が弱いのは毎度の事だがここまで弱いと何かの罠を疑ってしまう。
念のため大量破壊兵器の有無なども現在進行形で調べさせたりして奥の手を探っているが中々出てこない。
考えすぎだろうか?
(それにしても――)
周囲を見る。
我が軍の活躍ぶりは元より、綺羅やその取り巻き、クリスたち、グランディスの活躍が想定以上の戦果を叩き出している。
特に綺羅は相手の機動兵器のサイズ差を活かして懐に飛び込んで機動兵器の関節部や頭部のメインカメラ―、バックパックを狙うなどして的確に戦闘不能にしていっている。
皆それに倣うようにフォーメーションを組んで力押しではなく、戦術的に敵を撃破していく。
グランディスとパイロットの大文寺 リョウマも連携の大切さを本能的に理解しているのか、エクスアーマーの部隊と組んで次々と近づく敵を薙ぎ倒し、戦艦を撃沈していっている。
戦いは概ね優勢である。
☆
Side 銀河連邦 ゴーマン 総司令
「我が軍の被害が甚大です!!」
「敵軍だけでなく地球の兵器も想像以上に強力です!!」
「このままでは撤退も困難になります!!」
ええい、あの皇子め。
地球でバカンスでもしておるかと思えばやりおるではないか。
おかげで我が軍の被害は甚大だ。
このままでは数分も経たないウチに撤退も出来なくなる。
屈辱だがここは――
「総員撤退せよ――」
この屈辱忘れんぞ。
必ず息の根を止めてくれる。
あの小僧めが。
☆
Side リオナ・クレーデル
撤退ね。
まあ被害が尋常じゃない勢いで広がったし、地球軍を見捨てる形になるけどそうるするしかないわよね。
暫く銀河連邦は地球から手を退く形になるかしら。
それともまた暗躍とかで使いパシリにされる形かしら――私が。
はあ、就職先間違えたかしら。
☆
Side ディノ・ゼラヴィア
「銀河連邦が退いていく」
『どうします? 追撃しますか?』
ジーナが尋ねてくるが――
「いや、下手に追い詰めて大量破壊兵器を使われたくない」
『分かりました』
問題は地球軍だ。
例によって司令官はあの三輪〇人みたいな人だ。
あの司令官の事だから核ミサイルだの水爆ぐらいだのは準備しているだろう。
それで自分もろ共消し飛ばすぐらいはやりそうだ。
☆
Side 地球軍 総司令官
ええい銀河連邦も役に立たん!!
かくなる上は――
「既に停戦命令が出ていますが――」
「黙れ!! 停戦命令など知った事か!! ここで奴達を止めねば地球は銀河帝国の――」
「しかし――」
「黙らんか!! 核を使って吹き飛ばしてくれる!! こうなれば刺し違えてでも!!」
『それが答えなら容赦はしない』
銀河帝国の人型機動兵器がブリッジまで迫り、あの皇子が言ってきた。
瞬間光がブリッジを包み込む。
☆
Side ディノ・ゼラヴィア
緊急措置とは言え、あの総司令官をこの手で下してしまった。
特に後悔はないが。
地球軍は降伏。
銀河連邦は撤退。
逃げ遅れた連中や脱出した人々は降伏を選んだ。
(まあこれで当分は銀河連邦も表立っては動けないだろう)
少し肩の荷が降りた気分だ。
(暫くはゆっくりしたいな――)
などと思いながら母艦であるアロンズダイトへと帰還する。
☆
=数日後=
ゆっくりしたいとは言ったが自分は皇子である。
暫くは戦後処理などで忙殺された。
それに疎かになっている部分はあるが地球の調査任務もある。
まあこれは日本で銀河連邦の襲撃を受けたのでもう暫くは学園で引き籠る形になりそうだが。
学園の方も大分落ち着いてきて活気が戻って来た。
その辺りは喜ばしい点だ。
さてと、これからどうしようか。
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