第38話「演説」
Side ディノ皇子
学園での演説。
前回は記者会見だったけど失敗したな~
今回は人は呼ばず、ただ舞台を整えて屋外でメッセージを流すだけだ。
『敵が襲来!! 地球軍と銀河連邦軍です!!』
それを察知したかのように敵が襲来。
大軍だ。
だけど僕は止まらない。
傍にはジーナがいた。
いざとなれば彼女は命と言う名の盾になるつもりなのだろう。
学園の周囲にはゼラヴィア軍の精鋭とグランディスが。
その内側にはエクスアーマーの部隊が。
綺羅 セイジたち。
そしてクリス達がいる。
『どうも、ゼラヴィア帝国の皇子、ディノ・ゼラヴィアです。
まず最初に謝らなければならない事があります。
この星に銀河連邦とのイザコザを持ち込んだ事をです。
それに関しては申し訳ございません。
もう一つ計算外だったのは銀河連邦があそこまで暴力的な輩だったことです。
彼達はこの惑星の住民を支配下に置き、自分達の私利私欲のために、そして我々と戦うためか、あるいは銀河連邦の敵対勢力と戦うための先兵か、奴隷に仕立て上げるのが目的なのです。
この地球の資源も銀河連邦の正義の名の下に貪り尽くされるでしょう。
なら自分達ゼラヴィア帝国はどうなのだと?
そう言われたら信用してもらうしかありません。
幾ら信じてくださいと言っても悪魔の証明にしかならないでしょう。
だから考えてください。
銀河連邦が悪だとか、ゼラヴィア帝国が正しいとかではなく、地球人としてどう言う選択を取るべきなのかを。
話を変えまして同時に私は怒りを覚える事があります。
銀河連邦絡みの件で地球の人々に迷惑をお掛けしたのは周知の事実です。
が、その責をアークの、今日まで地球を守るために尽力してきた生徒達にまで罪を問う行為を私は容認できません。
もしも続けるようであればしかるべき罰則を与えるよう、日本政府に働きかけるつもりです。
以上を持ちまして私の演説は終わります』
これが自分が出来る精一杯のメッセージである。
それを地球の人達がどう受け取るかは分からない。
でもやるだけの事はやったと思う。
それにしても――
(演説終わったのにまだ戦闘を続けるつもりか?)
銀河連邦やその地球のシンパも、よほど僕を殺したいらしい。
地球側の司令官は例によってあの三〇防人長官モドキだ。
自分達を「外宇宙の侵略者」だとか、アークを「地球を銀河連邦に売り渡した裏切り者だ」とか喚いたりしている。
この人、僕達がいなくなったらその調子で銀河連邦にも噛みつきそうだな。
まあそれはともかく、僕も戦う準備をしよう。
僕の行いは偽善者なのかと思う時がある。
だけど、それでも自分の我儘を貫き通したい。
そのための力はある。
「行こう、ゼランクルード」
僕は愛機へと向かった。
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