第27話「要塞型ディセント」

 Side ディノ・ゼラヴィア


『もう皇子!! こんな恥ずかしい真似は二度としないでください!!』


「ははは、3度目もあるかも」


 どうもディノです。

 涙目で顔真っ赤な状態なジーナに怒られています。

 一応戦闘中です。


 専用機のライグ〇イオス――じゃなくてゼランクルード、ジーナは赤い重騎士のような専用機ゼランディーネに乗ってる。

 

『でもそんな皇子にシェフィール様は惚れていて――ああもう――』


「今は戦闘中だからね」


 言っておきながら次は何を歌おうかと考える。

 戦闘はテロリストの名を語る連中はほぼ全滅。

 世界中での戦線は優勢らしい。


 後はここが落ち着けば勝ちかなって感じだ。


『失礼!! ディノ皇子!! 大規模エネルギー反応、海中から超巨大物体が浮上してきます!! ちょっとした要塞サイズです!!』


「そう簡単には行かないか!!」


 どうやらディセントも隠し玉を持っていたらしい。

 が、隠し玉を投入するタイミングを逃した。

 まるで慌てて投入してきたような感じだ。


「距離感狂う程のサイズだな。要塞と言うより島がそのまま進んでいるみたいだ」


『このまま放置すれば例え破壊に成功したとしても学園の方に体当たりする形で残骸が直撃してしまいますが――』


「数分以内に出来うる限り破壊し尽くす。それしかない」


 オペレーターの報告に僕はそう判断した。


『え、皇子――ちょっ、ちょっと』


 回線切って要塞に突撃。

 砲火が次々と飛んでくる。

 他にも様々なタイプのディセントが発信してくるが胸部と両肩のエネルギー砲で薙ぎ払うように殲滅していく。


『皇子に近寄る者は斬る!』


 ジーナの機体は僕に近寄ろうとする次々と剣で斬り捨てていく。


「ジーナか、テッキリ止めるかと思ったんだけど」


『皇子は何時もそうです!! とんでもない決断を平然と下して――付き合う我々の身にもなってください!!』


「ははは――」


 そうそう。

 シェフィールの星で戦った時もこんなやり取りしたなぁ。

 

『新手が接近――早い!! ワープアウトしてきます!! サイズは50m級!!』


「なに?」


 ワープアウト?

 しかも50m級?

 テロリストの黒幕の差し金か?


 などと思っていたら。

 現れたのはコンパチ〇ルカイザーやグラ〇ィオン――ぽい真っ赤なヒロイックなスーパーロボットだった。


『いっけぇえええええええええええ!! グランディス!!』

 

 自分と同い年ぐらいの声と共に胸部のクリアパーツからビーム砲が発射される。

 同時にロケットパンチまで披露。

 額の角飾り中央部のクリアパーツからもビーム。

 

 次々とディセントを爆散させていく。


『俺は――えーと何て言えばいいんだ? 地球人で敵じゃねえ!! ただの学生だ!! よろしくな!!』


「うん。まあそう言う事にしておくか」


『ですが殿下――』


『なんだ? 信用できないのか?』 


『当たり前だ!! 大体お前は本当に地球人なのか!?』


『お前ってこっちは大文寺 リョウマって言う立派な名前があるんでえ!! ワケも分からん奴からこの機体を突然託されたばっかでこちとら頭グチャグチャなんだよ!!』


「結局名前言っちゃってるし――ジーナ、信用してもいいんじゃないかな?」


『そ、そうですね――』


 何かそんな気がして来た。

 どうしてかな?


『お、信頼してくれたか!! 乗ってるロボットは物騒だけど、話は分かるじゃねーか』


『皇子に向かって無礼な!!』


『え? 皇子さんなのか? よろしくな――俺は先に行ってあのデカブツを沈めてくるぜ』


 そう言って先行する。

 何だあの昭和のロボットアニメの世界から抜け出てきたような青年は。

 それともサ〇バスター枠?

 スポット参戦とかいるだけ参戦?


 まあともかく味方は多い方がいい。

 

「考え事は後にして飛び込みますか!!」


『了解!! 皆の者続け!! 皇子を援護しろ!!』


 先行する僕。

 ジーナが指示を飛ばす。


『僕達も行くぞ!!』


 そして綺羅 セイジも敵を次々と撃破していきながら要塞に飛び込んでいく。

 クリスは学園の守りに徹するようだ。

 


 敵要塞には艦砲射撃も行いながら手当たり次第に破壊。

 彼方此方から小爆発や黒煙があがる。

 

 戦艦を纏めて一撃で沈めるレベルの攻撃を連打してるからね。

 そりゃ数分もしないウチにこうなるわ


 エクスアーマーも僕達の支援に回ってくれている。


 これなら学園に激突する事態は避けられそうだ。


 それよりも――


『グランフラッシャー!!』

 

 短距離ワープしてから敵艦の至近距離で自分を中心に大爆発を起こす謎の特機、グランディス。

 バルディオ〇かお前は。

 

『しかしこの要塞タフだな?』


「その機体もね――アレだけ暴れまわってるのにエネルギー切れとか大丈夫なの?」


『そういやそうだな? 何なんだコイツのエネルギーって?』

 

 と、グランディスのパイロットである大文寺 リョウマは不思議そうな声を出していた。

 

『ともかく考え事は後だ後! この要塞をぶっ潰して戦いを終わらせるぞ!』

 

 そう言うと機体全身が発光する。

 そして――


『グランディス!! ブレイカー!!』


 そのまま体当たりしていった。

 ここまで来ると気持ちよすぎる程のスーパーロボットぶりである。

 

「じゃあ僕も!!」


 自分の機体を中心に超重力波を解放。

 要塞が広範囲に渡って陥没していく。

 

「とどめ!!」


 そして胸部から大出力の閃光を放つ。

 極太の光が要塞外装を焼き尽くし、内部で大爆発を起こす。


 それに続いてグレイオス部隊も最大火力を開放。 


 要塞型ディセントは部隊もろとも消失していった――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る