第24話「防衛戦開始」

 Side ディノ・ゼラヴィア


 ついに本格的な大規模侵攻が始まった。


 敵の第一波を軽く退けつつ、艦を移動させる。


 学園から離れて艦を数十隻単位で地球に降下させて艦隊を組む。

 ブラストフレームや戦闘機隊の発進も準備完了だ。


 本当はもっとおろしたかったが長期戦の可能性や救援要請の対応の都合である程度の纏まった部隊を待機して温存させておく必要があるためだ。


 学園側もエクスアーマーの出撃準備を完了させている。

 

 防衛軍の司令官や女性記者やら色々と失点はあったが――地球人にとっては宇宙人との初めての本格的な共同戦線である。


 緊張するなと言う方が難しいだろう。


 ウチ漏らした敵は素直に学園側に回している。


『僕は僕に出来ることを!!』


 綺羅 セイジが別人のような、鋭角的機動で次々とディセントのマシンを破壊していく。


 自分が知っている綺羅 セイジよりも凄まじい。

 本当にラノベ主人公してるよこの子は。


『見ててくれヒデト!! 俺はお前が誇れる俺になる!!』


 クリス・ヴァレンタインも仲間達と負け時と粗削りながら雑魚を撃墜していく。


 学園側の一部の生徒達の士気は高い。

 綺羅 セイジとクリス・ヴァレンタインの一派だ。

 教師陣より上回っているかもしれない。


 これにはゼラヴィア帝国サイドも驚いた。


 特に僕は(ゴースト作戦の効果ありすじゃないかな?)などと思ったり。


 現在のところ、お互い様子見の状態だ。


「警戒態勢は厳に。補給はこまめに。休めるうちに休むように指示しといて」


 ジーナは「ハッ、そのように」と返して指示を飛ばす。

 やはりジーナは優秀な副官だなぁと思う。


「地球軍の様子は?」


「念のため怪しい動きはないか警戒はしていますが」


「あの総司令官、このタイミングで何かやらかす知れないから」


「エクスアーマーで急襲を仕掛けると?」


「それもあるけどテロリストを装って仕掛ける可能性もある。学園側にも警戒するように指示して」


「分かりました」


(最悪僕が出るかも知れないけど、許してねジーナ)


 もう僕には学園の逃避感はない。

 シェフィールが言うように僕は我儘な男だから。

 だから我儘になる事を許してほしい。


『敵、第三波接近――猛スピードでやってきます!!』


「高機動型だ!! 対空防御は最低限に!! 味方の高機動型で対処!! 後ろ側に回り込んだ敵は学園側に任せて!!」


「大丈夫でしょうか?」


「今の彼達なら信じられる!!」


「了解!!」



 Side 綺羅 セイジ


 高機動型。

 手強い敵だけど今なら!!


『どうなっている!? エクスアーマーの限界を突破しているとでも言うのか!?』

 

 ユキナ姉さんがそう言っているがそんな実感はない。

 ただ以前よりも一体感が増しているように感じる。


「見ていますか、愛坂君――これが僕の答えです!!」


 そう言って高機動型を一機撃破。

 インリンやオリヴィアが「すごい」と言っているが気に留めず次の高機動型に向かう。


「方位陣形を取って弾幕を張れ!! 味方に当てるなよ!!」


 クリスはチームプレイで応戦。

 撃墜スコアを稼ぐよりも生き残ることを優先させているような感じだ。

 

(本当にすごいよ愛坂君――彼が本物の英雄だ)


 あの幽霊騒動は大騒ぎになったが自分の中ではもう決着はついている。

 愚かな僕達にチャンスをくれた愛坂君のためにも僕は戦おう。

 


 Side クリス・ヴァレンタイン


 こんな事になるならクサッてないでガムシャラに足掻いてでも訓練時間を増やすべきだったなと反省する。


 だが今はヒデトだけじゃない。


 今出来ることを知恵と工夫を総動員して魅せてやんねーとな。


 それにしても王城の野郎やその周りの連中がちょいと不安だ。


 たぶん幽霊騒動の時に何か言われたんだろうな。


「大丈夫でしょうか?」


「ユンか」


 ユン・シェンハ。

 意外な人物が来たな。


「無理言って単独行動させて貰っています。これよりクリスさんの援護に回ります」


「感謝する」


 疑問はあるがここは快諾しておくことにした。

 まだまだ敵の大規模侵攻は始まったばかりだしな。

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