第20話「大規模侵攻の報せ」
Side チャン・インリン
綺羅 セイジを中心に女の子たちがいる。
中でも専用機持ちの女の子達――
御剣 アイナ。(日本)
ティファニー・ゴールド。(アメリカ)
シャルティーナ・マーティン(フランス)
ナージャ・ノヴィオフ(ロシア)
ネーナ・シュナイダー(ドイツ)
反省房送りになったオリヴィア・ウィリアムズ(イギリス)。
最後に私、チャン・インリン(中国)
誰がセイジのハートを射止めるのか。
そのレースの真っ最中だった。
だが、愛坂 ヒデトの死。
そして宇宙人の来訪で全てが変わった。
教師達の私達への見る目が厳しくなり、本国からの担当官からの苦情の嵐。
さらに不良生徒への更生プログラムのような真似を行わされている。
オリヴィアはどうやら学園への見学者へストレス発散のためか、傲慢チキな態度をしたせいで反省房送りになったようだ。
今やエース部隊とまで言われた1年A組は見る影もない。
無残な形だ。
元々専用機持ち達は綺羅 セイジのためのハニトラ要因で送り込まれたし、他の面々も似たり寄ったりの理由だろうと私は思った。
だが1年A組の面々――特に専用機持ちは罰則解除のもと、突然集められた。
事情はゼラヴィア帝国にも伝わっているらしい。
嬉しいと思ったが、何の脈絡もなく罰則を解除するだろうか?
何か嫌な予感がする。
☆
大規模侵攻。
セフィア学園長、綺羅 ユキナ先生の口から突然告げられた。
それが私達の専用機が解除された理由らしい。
同時にここ最近ディセントの動きが活発化しているのもそのせいだろうか。
ディセントは基地を世界各国に作っているが何処から来たのか正確には分かっていない部分が多い。
既に戦闘が始まっているところもいるようだ。
宇宙帝国を守るための世界連合軍も実質解散となり、元の国で戦闘や戦闘準備を始めている。
学園の生徒も近くの基地からの襲来に備えるために。
あるいは救援に向かうためにだ。
「あの、ゼラヴィア帝国から救援は出せませんの?」
と、オリヴィアが恐る恐る言う。
反省房送りなど、一際罰則がキツかったせいかまいっている様子が感じられた。
「学園を守ることに関しては構わないとの事だ。危ない地域があれば部隊を派遣してもいいとも言われた」
「アレだけ酷い仕打ちを受けたのに、善良的と言うか良心的と言うか……」
シャルティーナがそう言った。
確かに今迄の事を考えると聖人君子か何かかとも思える。
同時に少しホッとした。
大規模侵攻は一度起きれば世界崩壊の危機とも言われる程の厄災だ。
これで地球上の多くの人間の人生が狂った。
私も、皆も、綺羅 セイジだってそうだ。
だからこそ、どう言う理由かは分からないがゼラヴィア帝国が手助けしてくれるのはありがたかった。
☆
食堂でティファニーと二人きりになる。
たまたま隣になったとか席を居合わせとかそんな感じだ。
よく漫画とかアニメとかに出てくる金髪でグラマラスなテンプレアメリカ人をそのまま実体化したような感じだ。
「で? ティファニーはどうなの?」
「アメリカは世界一の軍事大国だからネ。大規模侵攻が起きても早々落ちないヨ」
「まあウチ(中国)も何だかんだで軍事大国だからね。そう簡単には落ちないわ。ナージャの国(ロシア)もそうだし」
「そう言う事。私は学園で名誉挽回のために頑張るワ。ついでにセイジ君も慰めて、ハートを射止めちゃおうかしらネ」
「余裕ねアンタ……セイジは私の物なんだから」
と言い合う。
ふと周囲から囁き声が聞こえる。
1年A組に対する悪口だ。
直接言わないのは私達みたいになるのを恐れてか。
今ゼラヴィア帝国がいるのだ。
イジメなんかして目に入ったらどう思われるか。
だからこんな感じで負け犬の遠吠えのように言うしかないのである。
ティファニーは知ってか知らずか食事を楽しんでいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます