第13話「悩んだら相談」
Side ディノ・ゼラヴィア
私室でユン・シェンハと通信を通して相談する。
ジーナもいいのだが彼女は良くも悪くも帝国軍人だ。
話の流れが好戦的に傾くのは予想できる。
それに今回ばかりは地球の事情に少しでも詳しい人が良かった。
『エクスアーマーの台頭やディセントの出現で、ある種の軍時主義が蔓延している聞いていましたが、それだけ酷いレベルだったとは想定外でした』
ユンの言う事は概ね正しい。
エクスアーマーの適正地は概ね女性が高く、またディセントとの戦いで男性の戦闘要員が大勢死に、そこから更に軍の広報目的や士気高揚のためにエクスアーマーが台頭するワケだが――上手く行き過ぎて今に繋がる。
だが急激な変化は何かしらの問題を産み出す。
「本当にそうだよ――正直耳を疑った」
どっかの世界みたいに女尊男卑とまでは行かないがエクスアーマー主義みたいなのが出来上がり、戦車や戦闘機など、様々な軍事予算が削られたと言われている。
旧来の男性軍人などはこの状況をよく思わず、反エクスアーマー主義と同時に過激な軍事主義が台頭してきたと言われているが――まさか異星人に宣戦布告かますレベルだとは思わなかった。
「まあ今になって冷静に考えれば疑いたくはなる気持ちは分かるけど、もうちょっと慎重かつ冷静に考えて動いて欲しかったね」
と、僕は気持ちを口にした。
『謎の人類の天敵に襲われて、宇宙の彼方から突然友好的な宇宙人が現れて助けてくれるなんて言うそんなご都合主義、この広大な宇宙で早々ありえませんから……」
(だよね~僕はやっちゃったけど……)
主に婚約者の星を救うために。
あの時は若かった。
『非情かつ大変不本意ながら、正直地球側の司令官の言う、ディセントはゼラヴィア帝国の先遣隊設定の方が現実味ありますし』
「まあね――だけど、その、二度も言うけど、もうちょっと冷静に考えて動いて欲しかったよ……」
自分からすればエクスアーマー至上主義者の女性とそんなに変わらない。
あの司令官も今まではあんなのでも司令官が務まったんだろう。
それが例え、反エクスアーマー主義、軍国主義の火種を注ぐ形になろうともだ。
だが相手と時期が悪すぎる。
放っておいても何かしらの処罰が下るだろう。
でなければ地球サイドは宣戦布告したのを容認したと同義になる。
「話を変えよう。ユン、アレから学園内の反応は?」
『学園内だけじゃなく世界中が大混乱です。この世の終わりが来たとしたら、こんな風な感じなんでしょうか。それぐらいのパニックが起きてます』
「……スグに学園に向かって記者会見なり何なりした方がいいかも知れないな」
『あのディノ様。そこまで地球に肩入れするのは――』
「なあに、まだ調査の任務は終えてないからね」
そう。まだ地球の調査は終えてはいない。
切り上げるには時期早々すぎる。
私情たっぷりに動いているけどそれが僕だ。
婚約者のシェフィールにも言われた。
自分のやりたい事のために一肌脱いでみよう。
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