第32話「カウンターアタック」

 Side ディノ・ゼラヴィア


 次々と外で展開していた機動兵器が破壊されていく。

 実は自分の部隊――ステルス仕様の機動兵器の部隊を周辺に置いていたのだ。 

 その準備が見事に功を奏した形だ。


『どりゃああああああ!!』


 グランディスの、大文寺 リョウマの叫び声が聞こえる。

 

 ワープして現れた感じだろうか。

 こう言う作戦には打って付けの機体だ。

 銀河連邦の機動兵器をまるで雑兵のように薙ぎ払っていく。


 リオナ大佐はこの展開を読んでいたのかあまり驚いてはしなかった。

 

 同時に屋上やガラスを突き破って暴風と一緒に突入部隊が現れる。

 

 同時に綺羅 ユキナも動き出して次々と近くにいる敵を薙ぎ倒していく。


 ジーナもエネルギーの盾とエネルギーセイバーを展開していく近くの敵を斬り倒していく。


 僕はエネルギーフィールドを張って見ているだけだ。


 外ではグランディスに殴り飛ばされるエクスアーマーの姿があった。

 ご愁傷様です。


「ありゃ~見事にカウンターされたわね」


「感心している場合じゃないでしょう!?」 


 リオナ大佐とその二人はそそくさと退散していく。

 こんな状況なのに余裕だなこの二人。

 

「ってエクスアーマーを!?」


 リオナ大佐と副官はエクスアーマーを展開して窓ガラスを突き破り、そのまま逃亡した。

 同時に東京タワー周辺の上空から機動兵器と共に空中戦艦が降下してきた。

 銀河連邦のステルス仕様の奴だ。


 当然ながら東京タワー周辺が戦場になる。

 僕達も突入してきたウチの特殊部隊に誘導される形で空中揚陸艇に乗り込む。



 戦いその物はあっという間に終わった。


 と言うかあのリオナ大佐の引き際が良すぎたせいだ。

 本人はあまりこの作戦にノリ気じゃなかったのかもしれない。


 だがそれでも日本政府や世界は未曽有の大混乱に陥り、僕達は学園にほとぼりが冷めるまでトンボ返りする羽目になった。


 そりゃそうだ。

 

 他の宇宙人、地球外勢力の登場の時点で驚きなのだ。


 日本政府がその勢力と組んでゼラヴィア帝国の皇子を謀殺、あるいは捕縛を目論んで、危うく地球を銀河大戦の舞台に巻き込むところだったのだ。


 いや、もう巻き込まれているか。


 日本政府は何度目かになる失態で眠れぬ日々を過ごす事になるようだ。


 日本国民なんか大パニックで疎開を始める住民まで大量に出ている始末だ。

 なんかドラゴンボー〇のセ〇ゲームの時を思い出すな。


(問題はリオナ大佐か……)


 正直言うと今はリオナ大佐の事で頭が一杯だった。 

 銀河連邦を甘く見ていたかもしれない。



 Side リオナ・クレーデル 大佐 


 どうもリオナです。


 上官から艦内のモニター越しにお叱り食らっています。

 本当は鋼鉄ジー〇(昭和版)みるつもりだったんだけど。


 今回の作戦目的はディノ皇子の捕縛、あるいは抹殺なんですよね。

 だけど良いところなしでさっさと逃げちゃったのがマズかったのかこうしてお叱りを受けてるワケです。


 上の連中はディノ・ゼラヴィアをどうにかすれば勝てると思ってるようですが、それは上手く行ったとしても一時的な物で、暫くすれば戦況は元通りになるんですよ。


 どうしてそれが分からないんでしょう。


 ああ、分からない奴が上に多すぎるから銀河連邦は苦戦してるのか。

 納得ですね。


 上の方々が銀〇伝のヤ〇・ウェンリーだらけならよかった。

 

(まあ嘆いても仕方ありません。今回の被害もこちら側は人造兵士や無人機の損失だけで良かったです)


 その事だけでもホッとした。

 自慢じゃありませんが上手く敗北して逃亡するのは得意ですから。

 

(次の手を――と言っても警戒が最大限の時にぶつかるのは得策じゃありませんね。だけど上は分かりやすい、目に見えて分かる結果を求めている。どうすればいいのやら……)


 ああ、頭が痛い。

 上司に恵まれたい。

 亡命真剣に検討しようかな……


 

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