第6話

また同じようにラテンダンスを踊って、すっかり緊張のとれた少女を観察。2回目はウォッカなし。

なんだろな。


「家は?近く」

「いえ、全然、車でだいぶかかります」

「どうやってきたの」


「友達に送ってもらいました」

「そう、わざわざ。あなた学生さん?」

「はい、U大学に通ってます」


へぇー結構、優秀じゃん。


「何、勉強してんの」

「法律です、裁判官になろうと思って」

「スゴ、じゃ、大学院大学ね、卒後は」

「ええ、まあ」


「そういえば名前きいてなかった」

「うちだ、けいこ、っていいます」


「うちだ、って、ない、に、田んぼの田?」

「けいこは、恵の子」


ズイブン、ふつうだな。いまなら、群星でダイヤ、月花でルナ、愛姫で、マミ、とかやるはずだ。


といいつつ、私の名もアレコレ、いわれはする、が、本名だ。


「もう一曲、カラオケする?」

「いえ、ありがとうございます。モチネタさっきのしかなくて」


「ズイブン、古い曲知ってるね。びっくり」

「クラッシックしか知らなくて、ピアノやってて」


「へぇー、じゃ、ショパンとかさらっと弾けちゃうんだ」

「まあ、それなりに…」


「そんなお嬢さんが、こんなニッチな所にくるのね」

「実は…相談があって」

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