第25話
「営業部の人、俺もよく知ってるヤツで以前から関係があったらしい。結婚してしばらく途切れたけど、相手が奥さんと別れたんで、寄りを戻したって話」
「なによそれ、確かめたの」
「ああ、確かめた。これでも粘着質な性格でね、興信所、つかった。揃えた資料を目の前に投げつけたら、なにもいわずに出ていった」
「ぶん殴るとか、ひっぱたくとか、足蹴りするとか」
ダメだろ。それ。
「するわけないだろ」
男女の仲って、よくわからない。彼女、確かに、ずんぐりでかっこわるい無精ひげをはやした三谷とは、絵てきに合ってなかった。
昔でいうと、なんとかまり子みたいな顔つきで、小柄で目が大きくて、薄いピンクの唇にエクボがのっかっているような、いつまでたっても高校生のような感じ。
頼りがいのある男が好き、だったのかも。
「これからどうすんの」
「ダメだろうな」
「三谷、ごめん、これから仕込みあるからさ。もし時間があったら、後でおいでよ、聞いてあげる」
「…うん」
彼のどっちつかずの返事を後に、私はガラっとパイプ椅子をならして席を立った。
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