第12話

まだある。


炒め物も一品くらい、いるだろ。


キャベツを豚コマで炒める。おっさん達はキャベツの葉脈が固くて嫌いなはずだから、包丁で丁寧にとる。これが結構めんど。

油はこめ油に限る。そこにごま油をたらせばキャベツの有機溶媒みたいな臭みがとれる。


客は予定より、10分遅れでやってきた。

ああ、多分アイツだな、とマスコミでよくみかけるおっさんが若い衆を引き連れて入ってきた。


「いらっしゃいませ」


真っ赤な革張りのソファーの中心に大将が座り、序列が決まっているのだろう、年齢に応じて端に行くほど若い奴が席をとった。

総勢10人、彼らが地元の利権を握る政治屋の群れだった。

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