第13話
「お待ちしておりました」
「おお、ママ、すまんねぇ」
「先生、いつもありがとうございます。お連れ様方も、よろしくお願いします、のぞみと申します」
その筋かと思わせるような、低い野郎どもの挨拶が一斉に返ってきた。
「先生、お食事の方は」
「済ませてきたよ。若いのはまだ腹が満ちてないかも、後で何かだしてやってくれ」
「かしこまりました、先生はまずはいつもの、ハイボールで」
「ウム」
一条雄大。
随分、荘厳な名前だが、なにやらご先祖様は公家の出身らしく、明治維新でもそこそこ活躍したらしい。爺さんは日本陸軍の中将クラスだったようで、シベリアに抑留され亡くなったとのこと。父親は陸軍大学校を出たてで、戦後すぐは祖父のせいで辛酸を嘗めたようだが、自衛隊創設にあたり幹部として呼び戻され、20年近く勤めた後、政界から誘われ立候補、当時の最大派閥の後押しもあってトップ当選、しかし2期目の途中で脳溢血で急死、急遽、跡を継ぐことになった雄大が、まだ新聞社で丁稚奉公をしている際に呼び戻されめでたく世襲。当選11回、ようやく65を過ぎたばかりなのに、政界第二派閥の相談役として君臨している。
……のぞみから聞いた。
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