第3話

二十歳、だと言い張った、その子は誰に聞いたかしらないが、オープンと同時に猫がまわりを確認するように、恐々と入ってきた。


「いらっしゃい」


「ミカンさん、ですよね。ミカンさんのお店、でいいですか」


若い客はたまにくるが、大抵訳ありだ。が、それも慣れたので、特別、こちらも構えない。


「そうよ。なんにする」

「…えっと」

「ところで、あなた何歳?未成年にはお酒の提供はしてないから」

「私ですか、もう成人してます。今年が調度成人式だったんです…」

「なら、いいけど」


免許証も確認したかったが、生活安全課じゃあるまいし、PTAを支配する、ポイズンママでもないし、少女の目の泳ぎ方をみて、とりあえず詮索をやめた。

こいつ、絶対成人してない。


「甘くない、カクテルって…あります?」

「カクテル、、1個しか作れないけど、トマトベース大丈夫かしら」

「あ、はい」


ラテンダンスを踊るように、とか、常連のバーテンがいってたけど。

シェイカーを子気味よく振りながら、よそよそしく店内を見まわす少女を観察する。

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