第37話
クェーン~
そう聞こえたのだ、ホント。救急車とも違う、地震警報のサイレン?
どうやら違う。
泣いていた、内田。
「ナにナに、どうしたの」
彼女は鳴りやまなかった。
参ったなぁ。
「ねぇ、いいかな。今、私の友達に電話するからそこで相談して。水商売だけど」
すると、急にクェーン~が止まった。
ン?もう、終わり?なんか怪しいけど。
のぞみ、しかいないわね、こうなると。
「のぞみ、ごめん。仕事中?」
「珍しいわね、どうしたの。大丈夫よ。まだオープン前だから。それよりこの前ありがとう、先生、店に来たんだって?」
「ああ、その話、先週ね。それより相談なんだけど、若い女の子がうちにきて働きたいとか、そう、この前の子。見学だけでいいから、のぞみの店、今から行っていいかな」
「なによ。押し付ける気?」
「違うってあなたの方が達人だし、お説教でもいいからさ」
「ま、いいか。成人してるんでしょ」
「してる、っていってる」
「酒のまなきゃ、18でもいいから。おいでよ、そんじゃ」
ぷつっときれて後、つっぷした彼女に向かって
「そんじゃ、場所教えるから、行ってみてよ」
突然、上半身を上げ、
「ほ、ほんとですか、ありがとうございます」
と垂れていた涙を拭いた。
「ただし、釘さしとくけど、躾のきびしい店だからね。お偉いさんが結構来るし。それにあなた若すぎて雇ってくれないと思う。それでいいなら行きなさい、場所は…」
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