第35話

反論と提案はかえって相手の怒りを助長する。ヒタスラ私は聞いてあげた。


いつの間にか午前4時になっていた。


「みかん、抱かせてくれ」


そういって手を握ろうとした時にはさすがに、


「バカっ」

といって手背を叩いた。


聞き上手は時に相手の勘違いを誘う。最後はそれかよ。とっとと帰れ。


「三谷、もう眠いよ。また話す機会はあるからさ、今日は終わろ」


私は叩いた手を二度、促すように彼の胸元へ返した。


「お代はいいから」

三谷は生気なくうなづいて、席を立った。


長すぎた1日だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る