第21話

「高橋さぁん、アレ。旨そうなワイン」

「一杯どうです?」


高橋はその場を取り繕うように、ボトルを持ち上げた。


「いいの?あんがと」


グラスワインはこれ以上、洗うのが面倒なので、普通のコップを出した。どうせこいつに味はわからない。


「うわぁ、ジュースみたい。いくらでも飲めるね、これ」

「ほらほら、もういいから。はい、ビール」


最後のデキャンタ分を高橋のグラスにうつし、残りはバキュームして冷蔵庫に入れた。


その日もどうやら無事に終わった。

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