概要
本当はその時に死ぬはずだったのに、なぜか今日まで生きている。各地にちらばる奇談・怪談の裏側を探ることで、失われた左指の行方を探す在宅ライターのおじさんは少々風変わりだけれど、年齢も近いし僕は嫌いじゃない。
運転免許をとったことをきっかけに、僕は叔父さんの運転手を引き受けることになる(時給500円)。 一介のアルバイトのつもりだったけれど、次第に妙な事態に巻き込まれていく……。
◼️登場人物
小籠越生(こかご・えつお) 僕。19歳。最近運転免許をとった。新米ドライバー。父子家庭。
小籠倫他(こかご・りんた) 叔父さん。29歳。左の全指がない。怪奇系フリーライター。
藤堂真子(とうどう・まこ) 僕の幼な
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!叔父が甥を、甥が叔父を思い合う、迫真の人間ドラマ
キャプション部分を読んで、叔父さんと甥の諸国怪異漫遊記を想像していたら、自己肯定感ゴミカスの男に、人を愛し人から愛されるまで、大好きだよと伝え続けるヒューマンドラマでしたありがとうございます。
世界観、プロット、どれもみっちり作り込まれていて作者様の高い地力を感じます。ミステリーが得意な方が、情報管理の力点をずらして、巧妙なサスペンスに組み立てている、という印象でした。
他の方も言及されていますが、生人剥や否穢多(この文字に込められた別の意味にもびっくり!)なども言葉選びも秀逸です。
詳細不明な妖怪「わいら」を用いるとは珍しいな~と思っていたら、なまじ知っていたぶん「牛かわず」を流してしま…続きを読む - ★★★ Excellent!!!戦慄の走るホラー作品!
主人公は大学生の僕。家族はお父さんと叔父さん。
僕はとても心の優しく普通の大学生です。叔父さんは穏やかな性格の謎に包まれたオカルトライター。お父さんは物語で大きなキーマンとなっています。
この物語で特筆すべきなのは、とても緻密なプロットで構成されたホラー作品であるということです。民俗学や口承、日本のどこかにこの村や風習が実在するのではないかと思うほどに丁寧な設定です。
物語は主人公視点で語られて、とても読みやすく、なおかつジャパニーズホラーの要素が随所に散りばめられています。
とにかく出てくる単語から因習まで全てが怖いです。
随所に伏線が張られており、見事に回収されていく物語は圧巻です…続きを読む - ★★★ Excellent!!!穏やかで優しい叔父さんの、触れてはいけない秘密の一面を覗き見る
怪異や因習の逸話を専門にするフリーライターの叔父さんと、その運転手をする僕の物語。
叔父さんの仕事について回るうち、彼に対する村の人々の冷たい態度が気になり始め——
兎にも角にも、叔父さんが謎めいていて非常に魅力的です。
お話はまだ中盤でしょうが、現段階で既に叔父さんのせいで私の情緒がおかしいので、理性を失う前にレビューしました。
僕から見た、腰が低くていつも優しい、大事な家族としての彼。
村の人から聞いた、【生人剥】という儀式の犠牲者であり【否穢多】として忌避される存在である彼。
彼の元カノから聞いた、意外と性的に奔放であるらしい?彼。
どれもこれも違う一面で、叔父さんが本当はどんな人…続きを読む