僕のおじさんは、ノロイの残滓らしい。でも、まだ、生きてる。
叔父さんには、左手の全指がない。幼い頃、とある呪いの儀式のために奪われた。
本当はその時に死ぬはずだったのに、なぜか今日まで生きている。各地にちらばる奇談・怪談の裏側を探ることで、失われた左指の行方を探す在宅ライターのおじさんは少々風変わりだけれど、年齢も近いし僕は嫌いじゃない。
運転免許をとったことをきっかけに、僕は叔父さんの運転手を引き受けることになる(時給500円)。 一介のアルバイトのつもりだったけれど、次第に妙な事態に巻き込まれていく……。
◼️登場人物
小籠越生(こかご・えつお) 僕。19歳。最近運転免許をとった。新米ドライバー。父子家庭。
小籠倫他(こかご・りんた) 叔父さん。29歳。左の全指がない。怪奇系フリーライター。
藤堂真子(とうどう・まこ) 僕の幼なじみ。友達が少ない。村長の娘。
赤間加々美(あかま・かがみ) 拝み屋さん。叔父さんの元カノ。
上中比奈夫(うえなか・ひなお) 僕の友達。神社の息子。