わらみみわらはなわらくちわらめ

禁俗口承案内 backnumber◼️



【禁俗口承案内】

著:等端ひとはしりん


 ……と、ここでお知らせです。 

 長らく連載させていただいた本コラムですが、今回を持ちまして終了となります。

 ご愛顧いただき、ありがとうございました。

 各地に散らばる禁忌とされる習俗、その中でも口伝えでしか残っていないような希少を通り越して幻に近いものを取り上げてきたコラムでしたが、いかがでしたでしょうか。

 本当の呪法や秘伝は厳重に保護され、私たちの知るところにはなりません。

 公になっているものの多くは、肝心要の部分が抜けています。

 たとえば、ひとりかくれんぼにおける開始時刻と最適な間取りに人形のつくりかた。

 きさらぎ駅に行ける特殊な血筋とその作法に代償。

 呪いの印を結ぶ際のタイミングと姿勢、特殊な呼吸法。

 決して口外できない、夜中に爪を切ってはいけない理由。

 など、意図的に隠されていてもう誰もわかりません。

 公になった時点で、真の当事者にとっては役に立たなくなったもの詰め合わせです。

 世に出る前の本当の呪法を、私は消えゆく口承を探ることで知ろうとしました。

 この場を借りてみなさまと議論を交わした時間は、実に有意義でした。

 そして、ついに私はたどり着いたのです。

 まだ誰も知らない秘伝中の秘伝。

 仮に、『ワイラハイラ』と名付けます。

 今はまだ詳細をお伝えすることはできません。

 私のコラムがご好評をいただいているにも関わらず突然の終了となったのも、この禁句にたどり着いてしまったからかもしれません。

 ……まあただの打ち切りなんですけどね。


 では、いつかどこかでお会いしましょう。

 等端りんでした。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る