キャプション部分を読んで、叔父さんと甥の諸国怪異漫遊記を想像していたら、自己肯定感ゴミカスの男に、人を愛し人から愛されるまで、大好きだよと伝え続けるヒューマンドラマでしたありがとうございます。
世界観、プロット、どれもみっちり作り込まれていて作者様の高い地力を感じます。ミステリーが得意な方が、情報管理の力点をずらして、巧妙なサスペンスに組み立てている、という印象でした。
他の方も言及されていますが、生人剥や否穢多(この文字に込められた別の意味にもびっくり!)なども言葉選びも秀逸です。
詳細不明な妖怪「わいら」を用いるとは珍しいな~と思っていたら、なまじ知っていたぶん「牛かわず」を流してしまって、後で仰天させられた一幕も。このへん、作者様の掌でコロコロされている気分でした。
明かされていく因習それ自体はとんでもないおぞましさなのですが、大学生の主人公の目を通して語られるそれは、重さがクドくなく読みやすいのもありがたいところ。かといって薄っぺらくならないのは、そうした事実に対して発生している現在=叔父さんの現状について、主人公が真摯に向き合い、どうにかしたいと足掻き続けるからこそ。叔父が甥を、甥が叔父を思い合う、そのドラマはまさに白眉。
いつも物腰柔らかで、丁寧な口調で話す「叔父さん」。そんな彼が周囲から不当な扱いを受けていたり、自分が知らない面を見つけていったりして、主人公はどんどん彼の真実を追い求めていく。
この倫他おじさん、ヘキに刺さる人がいたらそれはもう情緒がめちゃくちゃになるポテンシャルを秘めたキャラクターだと思うので、甥っ子と仲が良くて物腰丁寧な叔父さんキャラが好きな人は、ぜひご一読ください。
主人公は大学生の僕。家族はお父さんと叔父さん。
僕はとても心の優しく普通の大学生です。叔父さんは穏やかな性格の謎に包まれたオカルトライター。お父さんは物語で大きなキーマンとなっています。
この物語で特筆すべきなのは、とても緻密なプロットで構成されたホラー作品であるということです。民俗学や口承、日本のどこかにこの村や風習が実在するのではないかと思うほどに丁寧な設定です。
物語は主人公視点で語られて、とても読みやすく、なおかつジャパニーズホラーの要素が随所に散りばめられています。
とにかく出てくる単語から因習まで全てが怖いです。
随所に伏線が張られており、見事に回収されていく物語は圧巻です。
伏線回収の度に戦慄が走ります。
是非この素晴らしい世界観のホラー作品をご堪能頂ければと思います!!
怪異や因習の逸話を専門にするフリーライターの叔父さんと、その運転手をする僕の物語。
叔父さんの仕事について回るうち、彼に対する村の人々の冷たい態度が気になり始め——
兎にも角にも、叔父さんが謎めいていて非常に魅力的です。
お話はまだ中盤でしょうが、現段階で既に叔父さんのせいで私の情緒がおかしいので、理性を失う前にレビューしました。
僕から見た、腰が低くていつも優しい、大事な家族としての彼。
村の人から聞いた、【生人剥】という儀式の犠牲者であり【否穢多】として忌避される存在である彼。
彼の元カノから聞いた、意外と性的に奔放であるらしい?彼。
どれもこれも違う一面で、叔父さんが本当はどんな人なのか、すごく興味を引かれます。
これで敬語キャラなのが、100点満点中5万点です。すごく好きです。
村の悍ましい儀式や人々の雰囲気の薄暗さに、リアリティがあります。
一方で文章そのものが非常に洗練されており、特に会話のテンポが軽妙でユーモアもあるため、さくさく読み進められます。
【否穢多】とは何なのか。
僕の周りで何が起きようとしているのか。
叔父さんは何をしようとしているのか。
ものすごく気になります。めちゃくちゃ面白いです。
毎回の更新を心待ちにしています。もっとたくさんの人に読まれますように!