禍々しさと優しさと

このお話は、生人剥や非穢多などの字面のインパクトが素晴らしく、人ならざるものとの契約の設定も非常によく考えられています。民俗学ライターたる叔父さんが語る、契約の祝詞や、呪いの謎解きのために集めた類似の口承伝説の解釈の部分は、実際にありそうなリアルさなのです。

叔父さんは、越生との平穏な生活をいとおしみつつも、民俗学ライターという肩書きを隠れ蓑にその呪いを完成させるという義務を頑ななまでに果たそうとしています。

叔父さんが、達観しているように振る舞いながらもその運命に葛藤している姿、そして19歳にしては素直すぎるくらい良い子の越生が懸命に叔父への愛情を伝えようとする姿はとても魅力的です。

謎だらけの祝詞の本当の意図とは?
叔父さんは呪法を完成させるつもりなのか?その時越生はどうするのか?

結末まで目が離せません。

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