第24話 おっぱい山の秘密

 「すげえ。昔とそっくりそのままじゃねえか」


 「でしょ〜?いつかユルゲンが帰ってくる時に備えてそのままにしておいたの」 


 「家財道具がほとんどそのまま…ここまで保つのには手間がかかったでしょう。ありがとうございます、クラーラさま」


 海から帰った後、オレとエミーリアはクラーラにとある場所へと案内された。


 すなわち、オレとエミーリアが約10年の歳月を過ごした生家である。


 クラーラの家のすぐ隣にある、リューゲン島では何の変哲もない小さな家。


 だが、オレやエミーリアにとっては特別な意味を持つ大事な場所であった。


 「ありがとうなクラーラ。ここはこれからオレの大事な城だ。一生ここに住むぜ」


 「えへへ…ありがとう」


 「…一応聞いておくが、その背中に背負った私物はなんだ?」


 「決まってるじゃない!」


 さまざまな私物が詰め込まれた布をどっかりと降ろし、クラーラはにへらと笑う。


 「あたしもここに住むの!ユルゲンのお嫁さんとしてね!」


 「おうふ」


 「今はまだ恋人同士だけど、エルデネト帝国をちゃっちゃとやっつけたらあーんなことやこーんなことも沢山しようね⭐︎」


 …これが既成事実化ってやつ?


 まあキスもしたし、オレも正直満更じゃないしー、





 「ゴゴゴゴゴゴゴゴ…」


 やっぱりエミーリアは怒っているようだ。


 「ユルゲンにおっぱいを授けるのは、私です…」


 「エミーリアさん…これだけは譲れないよ。これからは、あたしがユルゲンにおっぱいを授けるから」


 「ふふふふふふ…」


 「あははははは…」


 「「ゴゴゴゴゴゴゴゴ…」」


 喧嘩をやめてー。


 2人を止めてー。


 と言うだけで止まるわけもないので、妥協案を出すことにする。


 「うぉっほん!まあ落ち着け。オレは、エルデネト帝国を追い払うまでは清らか童貞でいなければならない。だから、オレは2人のおっぱいを平等に愛する。な?」


 「そういうことでしたら、仕方ありませんね。クラーラさま、これからもよろしくお願いします」


 「うん!よろしくね、エミーリアさん」


 とりあえず和解はなされた。


 というわけでー、






 ヌュル…ヌチュ…トゥルッ!

 

「えへへ。ユルゲン気持ちいい?あたしも、少しずつやり方が分かってきたよ…ああ、すごく大きくて、こすれて…切ないよぉ」


 チュパ…ジュル…


 「ユルゲン…もう2日間もおっぱいから母乳が出てません。ほら、こんなに先走りが。ユルゲンの口で、癒してください…」


 眠れない夜を過ごしましたとさ。






 「ユルゲンだめっ!そんな激しく擦られたら…あたしも感じちゃうううううううう!」


 「り、両方のおっぱいから吸うなんて…あんっ!そんな舌で舐めちゃ…来ちゃ…〜〜〜〜〜〜〜!」


 めでたしめでたし!



 ****



 そこから、おっぱいパワーを得たオレは精力的に働いた。


 まずはリューゲン島の新たな産業となり得るサンゴの収穫である。


 漁が思うようにできなくて悩んでる雄っぱいを集め、ちょっとだけ収穫したサンゴを見せた。


 「みんな!こいつは島の海の底で大量に眠っている。とても価値があるものだ。うまくいけばトリーアのおっぱいパブで120分ぱふぱふコースに通いまくれるぞ!」


 「ま、マジかよ!」


 「いつもはケチって30分コースで我慢してたのに…それが120分フルで!?」


 「流石はユルゲン皇子だぜ!」


 「でも、海の底にあるものをどうやって取るんだ?」


 「網を使う。今からやり方を教えるから、オレが取り尽くしちゃう前に死ぬ気で覚えろ!」


 「「「全てはおっぱいぱふぱふ120分コースのために!」」」


 難しいことはなにもない。


 船から重りをくくりつけた網をぶん投げて、底をさらうように収穫していくだけだ。


 あんまり仕事が与えられなかったから、親父を手伝いながら首都ケムニッツの海洋学校に通っておいてよかったぜ。


 結構な数の雄っぱいが乗り気になってくれたようだし、ザクザクと収穫していかないとな。


 


 いずれトリーアの狐おっぱいに買い取ってもらって、どぅんどぅん高値で売り捌いてもらおう。


 もちろん、エルデネト帝国抜きでな!



 ****



 次は、この島の生態の調査である。


 これは人に任せると時間がかかりすぎるので、オレ自身がとあるスキルを使うことにする。


 「ーーーー【風聞】ふうぶん!」


 生物が発する空気の振動、すなわち鳴き声や動く音を捉えるスキルだ。


 範囲は、リューゲン島一帯全て。


 あらゆる生物の音が、オレの脳裏にこだました。


 昔からこの島の生物の音はだいたい拾ってきたから、異常があればすぐ分かる自信がある。


 「…海の中にいる外来生物は今のところなし、か。だが、【トモーロス山】に気になる反応があるな。エミーリア!」


 「はい。早速、調べに行きましょう」


 「待ってユルゲン。アタシも行く」


 2人で探索に行こうとすると、クラーラに止められた。


 「気持ちは嬉しいが、ちぃーっと危ないからな。クラーラはおっぱいを休めておいてくれ」


 「えへへ。大丈夫!足は引っ張らないから!」


 クラーラは手を高く掲げた。


 「鳥さんたち!ねこさんたち!おいで!」


 するとー、




 周辺を飛んでいた野鳥数匹が、すかさずクラーラの元へと降りてきた。


 猫も物陰から数匹現れて、じゃれ始める。


 「うふふふ、みんなくすぐったいよ。おっぱいは舐めちゃだめ、だからね?」


 「まさか…」


 「そう。あたし、この島の動物とお話できるの!【交信】のスキルに覚醒したから!」


 「リューゲン島一帯なら全部か?」


 「うん!トモーロス山は前々から『見たことない生物がいる』ってみんな不安がってたから、あたしも見に行かなくっちゃ」


 かなり心強いスキルだ。


 オレは生物の声を聞けても、それが意味するものまでは聞けないからな。


 「分かった。だが、オレの背中から絶対出るんじゃないぞ?」


 「うん!ユルゲンの背中におっぱいをくっつけとくね!」




 そんなこんなで、オレたち3人は【トモーロス山】を登っていく。


 子供の頃よりもちょびっと小さく感じるが、何にせよ懐かしい気分を起こさせる里山だ。


 そこにー、





 でっかいアリの巣があった。

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