第10話 尻、偽おっぱい、街おっぱい


 三日月型のトリーア湾を中心とする港湾都市トリーア。


 オレがここを目指す理由は2つある。


 1つ目は、オレの最終目的地であるおっぱい天国リューゲン島へ向かう船を調達するため。


 …この前見たいに飛んで行けばいいじゃないかって?

 

 それだと目立ちすぎるからな。


 【神風】かみかぜスキルはエルデネト帝国やアルバンはもちろん、味方にもできるだけバレないほうがいい。


 そっちの方が、オレも色々とやりたい放題できるはずだ。


 国を陰から操る謎の風使いってもんよー。


 2つ目の理由はー、




 ケムニッツを出発したエルデネト帝国の使者、そいつらの乗った船がここに寄港してくるからだ。


 トリーアはエルデネト帝国が支配しているパンゲア大陸とザールラント王国を結ぶ玄関口だからな。


 補給や休息を兼ねてここに滞在し、改めてエルデネト帝国へと向かうってわけ。


 もちろん、そのまま見送るつもりはない。


 アホのアルバンから有利な条件を引き出して、ほくほく顔で帰るつもりの奴らを待ち伏せするつもりだ。


 というわけで無事先回りに成功したオレとエミーリアは、トリーア港を一望できる高台で約2週間監視を続けておりー、



 



 きゅうっ…


 「見張りたいのに真っ暗で前が見えないよ母さん」


 「ゆ、ユルゲン?どこにいるのですか?」


 「すぐ近くだな」


 「でも、おっぱいには何も挟まっていませんよ?」


 「下だよ下。草むらに寝転んでいたオレの頭を、安産型のぷりぷりお尻がきゅっと挟んでる。開闢かいびゃくしそうだ」


 「んっ…なんだかスースーすると思ったら、そんなところにいたのですね」


 きゅう…


 オレの頬を尻肉で一撫でしたお尻が宙に浮いた後、パンを調達してきたエミーリアの顔が見えた。

  

 少し困り顔である。


 「へ、変な感じじゃありませんでしたか?」


 この乳母…すけべすぎるっ!!!


 「最高さ」


 彼女の差し出したパンを受け取り、オレはトリーア港の監視を再開する。

 

 「首尾はどうですか?」


 「船首に竜の彫刻、エルデネト帝国の旗を掲げた帆船3隻が入港してきた。間違いない」


 「いよいよ、ですね」


 「ああ」


 小型船が中心のザールラント王国の軍船とは違い、やたらでかいので、遠くからでもよく見える。


 中央の一際でかい1隻に使者が乗っているのだろう。


 その1隻だけ、両舷に丸型の水車とでもいうべき装置が取り付けられていた。


 「あれは何でしょうか?」


 「【外輪船】がいりんせんだ。大陸で算出される魔石が産み出すエネルギーで水車を回し、風なしでも船を動かせるって寸法よ。弱点が多すぎるから実戦では使えんがな」

 

 ーどうだ息子よ。ザールラント王国海軍でも採用できそうか?


 ーだめだこりゃ!川ならともかく、海流の強い海じゃ速度が出ねぇし重量も無駄に増す!波に叩かれたら外輪がぶっ壊れちまう!攻撃されても一瞬で壊れる!いいところがねぇ!船に固いだけのガラクタ偽おっぱいを取り付けるようなもんだ!


 ーふーむ…せっかく密輸入したのに残念だ。費用はお前の給料からさっぴくとしよう。

 

 ーなんだとぉ!?


 ーふはははは!最近精巧なおっぱい像を買って金欠なのだ息子よ。お前にも貸してやるから我慢してくれぃ!


 の作品か。ちっ、絶対だぞ。


 海なんてどこにもねえ草原地帯で生まれた遊牧民族、エルデネト人の虚勢ってわけだ。


 「ユルゲンの言った通り、【南方艦隊】には動きはありませんね」


 「腐っても王たる兄貴に命じられれば静観するしかない。情けない話だがな。すでに伝書鳩かなにかで書状が届いたんだろうぜ」


 トリーア港の片隅には、すでにリューゲン島から撤退を終えた【南方艦隊】の小型船数十隻が、ギチギチに詰めた状態で停泊している。


 小型船と言っても、こけおどしの大型船3隻ならなんなくぶっ壊せるはずだ。


 上が無能だと下も苦労するって典型だな。


 「さ、こうしちゃいられない」


 オレが【ユルゲン号】にまたがると、エミーリアも静かに同乗し、柔らかおっぱいを押し付ける。



 

 ぽよよん。


 うん。


 尻も絶品だが、やっぱりこっちだな。


 「エルデネト帝国の使者の顔、拝みに行くぞ」


 「はい!それまで、ユルゲンをぎゅっと抱きしめておきますね」


 力が高まるのを感じつつ、高台を降りて行く。






 「トリーアに入りたい?許可証は…あるな。そこの方は?」

 

 「13歳から裸エプロンでオレを育ててくれた乳母です」


 「通ってよし!!!」


 検問所も難なく突破したのだった。



 ****



 トリーアを訪れるのは5年ぶり、首都ケムニッツ入りを保守派貴族あほんだらに反対され一時期滞在した以来だったが、ほとんど変わっていない。


 大陸やそのまた向こうの西方世界の影響を受けた赤レンガの建物。


 商売の機会を求めて至る所からやってきた人間、動物の耳をはやした亜人、海外からやってきたエルフ、ドワーフたち。


 異国からやってきた商品であふれる市場。


 行き交う人々。


 「きゃ、ごめんなさい!」


 「お、おう」


 お、今のエルフ美女の緑の服、お腹がほとんど露出しておっぱいの形がよく見えるな。


 むぎゅぎゅ。


 「あら、ごめんあそばし」


 「さーせん」


 今ぶつかるついでにぎゅっとオレの腕におっぱいを押し付けたのは人間の美魔女商人。 


 「そこのイケメンさん!遊んで行かな〜い?」 

 

 「悪いな。今は保護者同伴なんだ」


 ぽよよん。


 確信犯的に背中から営業おっぱいを押し付けたのは、夜の店で働く猫耳ママさんだろう。


 出会いの数だけおっぱいがある。


 異国情緒おっぱいがみれるのは、ザールラントでもここだけ。


 リューゲン島からのおのぼりさんだったオレには、強烈な印象と共に残る街である。




 だが、とある一角に招かれざる集団がいた。




 「小さな国ザールラントの愚民よ、よく聞けぃ!我が名はゲンドゥン!貴様らの王との盟約に従い、トリーアの町全域は、偉大なるエルデネト帝国の植民地となった!!!」


 なんだろう、初手からウソ付くのやめてもらっていいですか?



 


 あとがき


 本日はここまでです!

 今後もエッチで面白い展開を目指しますので、少しでも「面白い!」と思った方はフォロー・感想・いいね・レビュー・☆などよろしくお願いします^_^

 



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