第23話 おっぱいで挟みました

 「みんなが平和で、豊かに?」


 「ああ。オレはもうケムニッツに戻るつもりもねえしな。ここで死ぬまでおっぱいを楽しむよ」


 「…」


 「ま、まあちょっとずつだけどな。とりあえずこのサンゴをトリーアのおっぱい狐娘のところに持って行ってー」


 「うわあああああああああん!」


 「ちょ!?」


 急にクラーラは泣きだし、おっぱいと共にオレに抱き着く。


 むちっ…


 エミーリアとは違う、若さと情熱に満ち溢れるおっぱいがこすり付けられる。

 

 バランスを崩したオレとクラーラは、海の生物しか目撃者のいない夜の海をふらふらと漂った。


 「ユルゲンが帰ってきてくれて良かったよぉ…本当は毎日不安で、島のみんながどうなるか分からなくて、胸がつぶれそうそうだったよぉ…」


 「悪かった。でもクラーラのこの南国弾力おっぱいが潰れるわけないだろ?」


 「もう…ユルゲンのばかぁ…」


 


 そうか。


 クラーラも【ポセイドン浜】じゃ強がっていたけど、内心は不安だったんだな。


 島長の娘でも、女の子だもんな。


 「ま、もう心配するな!オレはちょっとばかし強いからな。エルデネトなんてじきにオレがぶっとばしてやる」


 「うん…でもごめんね、ユルゲン。あたしが女の子ってこと、隠してて」


 クラーラが、少し表情を変えた。


 オレと一緒に遊んでいたころには見られなかった表情。


 いわゆる女の表情ってやつか。


 「別に気にしてないぜ。オレみたいなおっぱいガキ大将にばれたらヤバいからだろ?そりゃー」


 「違うよ」


 クラーラはいつの間にか顔が耳まで真っ赤になっていた。


 「…なの」


 「え?」


 「好き」


 「隙あり?」


 「ちがう~!あたしは…」


 そしてー、




 「ユルゲンのことが、好きっ」


 ぷにっ…




 これは、おっぱいではない。


 もしや…




 唇!?


 軽く合わされただけなのに、まるでおっぱいを堪能したときのように心地よい。




 「えへへ。子供の頃の夢が叶ったよ。ユルゲンは、その、もう経験済みだろうけど」


 「いや、オレも初めて」


 「…本当?嬉しい」


 再会してから初めて、クラーラは花のような笑顔を浮かべた。


 …が、急に驚いたような表情を浮かべる。


 「あ!ユルゲン、クラゲに噛まれたの?」


 「クラゲ?」


 「ほら、すごく膨らんでる」


 「ああ。これは、あれだ。アレ」


 しゃーないよね。


 急に男だと思ってた幼馴染が女で可愛くておっぱいがぷるんぷるんでキスもされる。




 開闢の剣が抜かれても仕方あるまい!


 「そっか。ユルゲンも男の子なんだね」


 「そ、そろそろ海から出るぞ!これはオレがセルフでー」

 

 「待って」


 クラーラが水着をゆっくりとたくし上げる。


 昼間【ヒガシダイオウイカ】にもみくちゃにされていた【若乳】が姿を現した。


 暗い海の中でも、その存在感は隠しようがない。


 「エミーリアさんから話は聞いてる。色々と辛いんだよね」


 ぞくっとする吐息を、耳に吹きかけられた。


 「初めてはまだ上げられないけど、お母さんならできないこと、あたしならしてあげられるよ…?」


 「…意外と、大胆なんだな」


 「ユルゲンはそう思ってないかもしれないけど、あたしだって、女なんだからね…?」


 オレの脳内で一瞬だけ天使と悪魔が壮絶な戦いを繰り広げー、






 天使と悪魔が手を組んで合体した。






 「ひゃあん!ユルゲンの、すごく硬くて熱い…挟んだら、火傷しちゃいそう…!」


 「おうふっ!もっのそっとしてくれい。爆発するぞ」


 「暴発…?あっ!なにこれ、ベトベトしてる〜!でも暖かい…」


 大体のことはしました!



 ****



 翌日。


 ある程度島の状況を把握したため、そろそろ本格的な行動を始めることにする。


 まずはサンゴの採掘と、島の周辺や海をうろつく外来生物の調査だな。


 何種類か島民に害を及ぼす危険生物もいるようなので、そいつらを排除する必要があるだろう。


 久しぶりに帰ったし、色々と探検に出かけたい気分でもある。


 あとは、この島の安全を脅かす真の脅威の排除。


 脅威がどれほどのものか確かめるため朝から【赤獅子号】あかじしごうに乗り、エミーリアとクラーラの3人でリューゲン島の海に出た。


 目標は、魚や貝がよく取れる資源地帯【リューゲン漁場】だ。


 何の変哲もない穏やかな海域だが、古くから海洋生物がうじゃうじゃいる場所として知られている。


 「あれですエミーリアさん!半年以上前からずっと魚を乱獲しています!」


 「あれだけ堂々と…ここはリューゲン島並びにザールラントの領海のはずなのに。許せませんね」


 「誘拐の次はコソ泥か。世界帝国もたかが知れてるな」


 事前に聞いた通り、島の漁師が数百年間大切に守り続けた【リューゲン漁場】は、エルデネト帝国の漁船で埋め尽くされていた。


 バカ兄貴アルバンがとんでも条約に調印する前から、ザールラント王国の弱腰を察知してやってきているらしい。


 あいつらには天からの授かり物って概念がないからやりたい放題だ。


 中には武器を備えた軍艦らしきものも見える。




 「【海風うみかぜ】!」


 「きゃっ!これ、ユルゲンの起こした風?」


 「ああ。流石に海域が広すぎて長続きはしないがな」


 「すごい…これが【神風】の力なんだ」


 とりあえず今日のところはお引き取り願うことにするが、これじゃあキリがないだろう。


 


 【神風】スキルを悟られないまま侵略者を追い払うには、あいつらの力が必要だ。

 


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