【ミニ改稿】第3話 おっぱい。それは、出会いと別れ

 「リューゲン島を守ることは、すなわちザールラント王国を守ることにつながります。だったら、じゃないですかぁ♡」


 小悪魔貧乳おっぱいは、オレに過激な提案を持ちかける。


 「【神風】かみかぜを使える先輩と【薔薇の弓兵】のアタシたちが手を組めば、近衛兵も首都防衛隊も関係ありません。さっさとあのブタ野郎と役立たずの貴族を粛清して、先輩が実権を握ればいいんですよ♡」

 

 アメリーなら、そう言うのではないかと思っていた。


 ザールラントは4つの大きな島と周辺の小島から成る島国。


 海を隔てた場所にある超大国、エルデネト帝国から最も近い場所にあるリューゲン島を保持していれば、他国から侵攻される恐れはほとんどなくなる。


 だからこそアルバンや重臣たちも油断して堕落していると言えるが。


 それに、本気でクーデターを起こせば、彼女の言う通り成功する可能性は高い。


 ただクーデターを成功させるだけ、ならば。


 「軍の指揮権がぼんくら大貴族の指揮下に置かれることに兵士も不満を抱いてます。いい機会だし、先輩だけの王国を築き上げましょ♡」


 にひひ、とアメリーは嗤いわら、【天の弓】につがえた矢を放つ。


 ぶうんっ…


 米粒ほどの大きさのハエに命中し、瞬時にその命を奪った。


 「さ、後は先輩の決断だけです♡」


 沈黙を了解と受け取ったのか、アメリーは体をくねらせながらにじり寄ってくる。


 オレはー、




 「ついでに、アメリーを先輩の…ひゃああああああんんんっ!」


 アメリーの背中を優しくなでた。



 ****



 「ちょ、ちょっと!なにするんで…ひいいいいんんん」


 「相変わらず背中が弱いな、アメリー。出会ったときと同じだ」


 「せめておっぱい触ってくださいよお…」


 「大人になったらな」


 「先輩だって、まだ15歳じゃないですかぁ…あんっ。お尻まで触るのは、反則…♡」


 力が抜けて倒れそうになったアメリーを、ベッドに寝かせてやる。


 「なんで、アメリーの言う通りにしないんですか…?」


 理由は、いくらでも話すことができた。


 クーデターを起こせば、どのような結果であれ大量の死人が出ること。


 死人が出れば国力の損失につながり、回復に年月がかかること。


 その隙をエルデネト帝国が見逃すわけはなく、大攻勢をかけられれば一気に不利になること。


 だが、アメリーにあえて理由を話すとすれば、1つだけだ。


 「お前は、そんな冷酷な女じゃない」


 「…!」


 「オレが弱らせてとどめを刺す前の【ジャイアントオーク】にも祈りを捧げるような心優しい人間に、そんなことさせるわけにはいかないだろ?」


 「…ひぐっ。先輩、ずるい!ずるいよぉ…」


 アメリーは泣き出した。


 少し様子がおかしいと思っていたが、悪いことをしたな。


 「うわあああああん…先輩が遠くに行っちゃうよぉ…」


 戦場では冷酷無比に振る舞い完璧に任務をこなすが、内心まで氷のように冷たいわけじゃない。


 「泣くなよ。貧乳おっぱい金髪美少女の綺麗な顔が台無しだ。ほら、ハンカチ」


 「…ひっく。あ、ありがとうございます」


 「本当はもっと慎重に進めるつもりだったが、お前を傷つけてしまったな」


 「…いいんです。先輩が悪いわけじゃないですから」


 彼女が話せるようになるまで、少し待ってやる。


 「先輩が行かなきゃならないことは、アタシだって分かってます。でも、でも、付いていったらダメなんですか…?」


 「スキルが使えないと思われている無能な俺と、ただのメイドのエミーリアが出て行く分にはあまり警戒されないし、追手も少ないだろう。だが、【薔薇の弓兵】として名の知れたお前も付いてくれば、追手は倍に増えるはずだ」


 3人が固まって行動すれば、その分目立ちやすくなり、追手との戦闘は避けにくくなる。


 追手と戦うとき、アメリーは完璧に任務を達成しながらも苦しむだろう。


 それだけはダメだ。


 「…そうですね。はぁ。寂しい。寂しいです先輩…」


 「永遠の別れじゃない。もしオレの構想通りことが進めば、きっとまた会える」


 「本当ですか…?」


 「ああ」


 オレは鮮やかな赤色をしたガーネットの宝石を、貧乳おっぱい金髪美少女に渡す。


 「これは【再会の宝石】だ。オレも同じものを持ってる。俺が自分のものに両手を添えて呼びかければ、お前の【再会の宝石】は光り輝く」


 「その時が、アメリーが呼ばれた時と思っていいんですね?」


 「ああ。お前の弓の腕は、頼りになるからな」


 「えへへへ…照れるなぁ。いつまでも泣いていられませんね」


 アメリーはいつも通りの小悪魔系貧乳の美少女に戻った。




 「じゃあ、最後にもう一度、おっぱい、触ってください♡」


 「話を聞けい!」


 「ちょっとぐらい、服の上からならいいでしょ?別れる前に、アメリーを女にしてください♡」


 語尾に♡は付いているが、目線はうるうるとしている。


 そりゃ、オレだって寂しい。


 おっぱいがオレの力の源であることを知っているアメリーは盛んに誘ってきたが、オレはあえて冗談めかして扱っていた。


 今思えば、真剣だったかもしれない。


 「…仕方ねえな。ちょっとだけだぞ」


 「やったぁ♡」


 アメリーはベッドの上で無防備な体制を取る。


 小さな上半身を包むのは、弓の邪魔にならないよう、小さな胸を包む薄布だけ。


 そっと手を伸ばしー、




 小さいながらも成長の可能性を残したつぼみ状態の胸を、そっと触る。


 ふにゅん…


 手でゆっくりと押し込んで離すと、確かな弾力と共に返ってきた。


 これは、成長への期待が持てそうである。


 「いっ…」

 

 「痛いか?」


 「い、いえ…大丈夫…です。先輩の触り方、いやらしい」


 「♡がなくなってるぞ。やれやれ、小悪魔系キャラが台無しだな」


 「…先輩がっ、両手で包み込むように触る…からぁ。そんな、ことされたら…ひいいいいいんっ!」


 クニッ…


 中央の小さなつぼみに人差し指を落とすと、アメリーの体が浮いた。


 触るほどにつぼみは大きくなり、人差し指を押し返さんばかりに膨らんでいく。


 「だめっ…大好きな先輩にそんなことされたらっ…アメリー、負けちゃ…」


 「そろそろやめにするか?」


 「いや、やめないで!先輩のあったかい腕、ずっと味わってー」


 アメリーがそこまで言うと、ひときわ腰を大きく浮かせる。


 そしてー、




 「来ちゃう!来ちゃ…~~~~~~っ!うううううんんんっ!あ、ふぁ…」


 人差し指を深く沈みこませると、嬌声とともに、アメリーは静かになった。


 


 「はあっ…はあっ…先輩、興奮しました?」


 「興奮した!」


 「嬉しい…先輩が呼んでくれるまで、頑張って貧乳を鍛えておきます♡」


 「…どうやって?」


 「内緒です♡」


 そして、俺の赤ら顔にそっと手を添えた。



 ****



 アメリーが去った後は何の波乱もなく、早朝までエミーリアとベットで寝て過ごした。 


 「ユルゲンさま…海に行くときは、気をつけるんですよ…あわび…」


 「やれやれ。もう島に着いた気分でいやがる」


 ぽよん。


 「おうふ」


 …さ、流石に、15にもなって処女の28歳乳母におっぱい押し付けられながら毎日同じベッドで寝るのはどうかと思うよ?


 でも、むっちりした両足でがっちり腰をホールドされつつ、両腕で押さえつけられながら背中に押し付けるから、逃げようがないんだなこれが。

 

 つーか眠れないし。


 ま、これもだし、しばらくは野宿生活だし、少しぐらいいいかな…



 

 ー待ってよユルゲン!もう、すぐに自分一人で行っちゃうんだから。


 島に帰ったら、まずアルノルトに会いに行ってやろう。


 あいつはオレと別れるときとワンワン泣いてくれたマブダチだからな。


 さぞかしイケメンに育ったことだろう。




 一緒に島中のおっぱいを探索しに出かけてえもんだ。


 


 「…【風震】かざぶるし


 念のため、【神風】スキルで編み出した監視魔法を発動させる。


 周囲1000歩以内の大気の乱れを感知し、敵対者が接近していないか探る風魔法だ。


 消耗が激しいので一時的だが、10000歩まで拡張することもできる。




 結論から言えば、朝まで誰も来なかった。



 ****



 「よく眠れましたか、ユルゲンさま」

 

 「ああ。もうグースカグースカよ」


 早朝、手はず通り屋敷を出て、寝静まったケムニッツ市街から郊外へと向かって行く。


 馬も兵士たちの給金を出す為に売り払ったため、どこかで購入するまでは歩きだ。




 やがて朝日が昇りだし、郊外に広がる木々が明るく照らされる。

 動植物が起き出し、活動を始める声がかすかながら聞こえてきた。


 ケムニッツの狭い都市の中じゃ味わえない感覚だ。




 ワクワクが止まらない。


 「さあ行くぞエミーリア!俺たちの故郷へ!」

 

 「はい!どこまでもお供します!」







 さあ、故郷に帰っておっぱいを堪能するついでに、帝国をぶちのめす冒険の始まりだ!



 ****



 第一次侵攻、50000人。


 第二次侵攻、500000人。


 それと前後して発生した無数の小競り合い。


 世界最強たるエルデネト帝国の侵攻を退けたザールラント王国の快挙は奇跡と呼ばれたが、その鮮やかすぎる勝利から「気象条件に恵まれただけ」「実は敗北寸前だった」と過小評価する声も多かった。


 晩年のユルゲン・ドナートは、そのような時、決まってこう言ったと伝わる。






 ー【神風】かみかぜは偶然吹いたんじゃない、みんなが吹かせたのさ。

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