第25話 壮絶なおっぱい勝負が繰り広げられました

 「キキ…」


 【トモーロス山】の山頂に広がる森。


 そこで密かに巣を作り始めているのは、人間の2倍ほどのサイズがあるずんぐりとした蟻である。


 大陸原産の【タイリクヒアリ】だ。


 普通の蟻と違うのは、体色が血のように赤いってところ。


 ただ、本来は普通のアリと同じ豆粒ほどのサイズのはずだが…気になるな。 


 【風聞】ふうぶんで巣の内部を調べたところ、どうやら数十匹はいるらしい。


 「キキッ!」


 地上に出ていた1匹がそそくさと巣穴に戻っていく。


 草木で巧妙に隠しているが、なかなかでかい巣だ。


 「なぜリューゲン島に巣を作っているのでしょうか?」


 「分からん。だが放ってもおけまい」


 「このままじゃ、島のみんなを襲うのも時間の問題だしね」


 「ああ。お前の故郷にそんなことはさせないさクラーラ。行くぞ!」


 「うん!」


 「お待ちください」


 早速飛び込んで行こうとしたが、エミーリアに止められる。


 「アリは独特の匂いで敵味方を識別してると聞いております。ここは、私たちもアリになりましょう」


 「アリになる?」


 「はい。少々お待ちを…」


 エミーリアは最近ずっと着ているメイド水着の胸元をゆっくりと開ける。


 ぷるん…


 いつも通り雪のように白い【母なる乳】ミルキーはママの味だ。


 「んっ…」


 「いつもよりちょっと大きいな」


 「もう。昨日ユルゲンに両方吸われたせい、ですよ?エミーリアの細い両腕をたくましい両腕で押さえつけながら、顔を埋められて…恥ずかしくして死にそうでしたからねっ」


 「さーせん」


 「あなたのお母さんなのに、思わず腰が浮いてしまいました…はしたない…」


 「さーせん」


 ちょっとムスっとした表情を浮かべつつ、乳母はアリが通った道におっぱいをくっつける。


 「ここに、さきほどのアリの体液がかすかに残っているはず…んっ…はぁ…」


 敏感な部分を大地に擦り付けながら、エミーリアは汗を流していく。


 「…【変わり水】かわりみず


 体に付着させた体液をコピーして増殖させる、彼女特有のスキルだ。


 余談だが、彼女の先祖は昔暗殺者の家系で、女性はみんな絶世の美女だったらしい。


 敵を暗殺する時は娼婦を装って油断させ、毒に変えた体液で音もなく仕留めたそうだ。


 以上、エッチな余談終わり!


 「…ふぅ、完了しました。エミーリアの体液を全身に塗りたくれば、【タイリクヒアリ】に疑われず内部に侵入できるはずです」


 「なるほど」


 「ただ…」

 

 「ただ?」


 「主要な成分はエミーリアの両胸から出ます」


 「…それって仕様?」

 

 「…はい」


 「なんか間があったよね今」


 「き、気のせいです。さぁ、いつものようにエミーリアを可愛がってください…」


 いつの間にかエミーリアは滝のような汗を流している。


 水着もいつの間にかびしょびしょになっていて、くっつけば気持ちよさそうだ。


 トリーアでも見たが、なかなかにそそる光景である。


 「よし。では早速ー」


 「す、ストップ!」


 「どうしたクラーラ」


 「む〜〜〜…」


 振り返ると、クラーラがオレをジト目で見つめていた。


 ぶるんっ!


 自らもわずかな部分しか隠していないビキニを外し、エミーリアの【母なる乳】に対抗する。


 この大きさで垂れていないのは感動すら覚える。


 「その…あたしが先にエミーリアさんとくちゅくちゅしたらだめかな?」


 「もしかして…嫉妬?」


 「べべべ別に嫉妬なんかしてないけど?ただ、ユルゲンとエミーリアさんを見てたらなんか胸がザワザワとしただけだし…」


 それを嫉妬と言うのだろうが、クラーラは気づいてないらしい。


 まだ若いのだろう。

 

 「まあいいけど。ほどほどにな」

 

 クラーラはぬるぬるになっているエミーリアの元に歩み寄り、対峙した。


 「…負けないから」


 「クラーラさま。ユルゲンのことなら、私も本気です」


 新緑の瞳をキラリと光らせ、それに応じるエミーリア。


 「「いざ、勝負!」」


 クラーラが、自らの【若乳】成長が楽しみ、でも成長してくほしくない…をエミーリアの【若乳】にゆっくりと押し付けた。


 ぶつかり合う乳頭。


 柔肌をぬるぬると擦り付ける乳房。


 汗だくになる、15歳の少女と28歳の美女。


 ニュル…ニュル…


 短い時間のはずなのに、とても長く感じる。


 「あっ…くぅん…そんなっ」


 均衡を崩したのはクラーラの方だ。


 膝が震え始め、顔が真っ赤に染まっていく。


 「ふふふふふ。クラーラさま、ここは勝たせてもらいます」


 「あっ…」


 やがてクラーラの体から力が抜け、地面に押し倒された。


 「だめ…押し返せない…」


 目がうつろで息も絶え絶えだ。


 エミーリアは容赦なく自らのおっぱいでクラーラのおっぱいを責め立てる。


 ヌチュ…クチュ…


 「は、離して…きゃっ」


 エミーリアはすらりとした手でクラーラの肉感的な体を拘束し、首筋を優しく舐め始めた。


 クラーラはびくびくと拘束するが、なすすべがないようだ。


瞳からも、徐々に力が失われる。


 「何か、来る…このままじゃ、負けちゃう…!」


 「…」


 「ごめんユルゲン。あたし…」


 「しっかりしてくださいクラーラさま。そんなことでは…ユルゲンをあなたにやれませんよ」


 「…!」


 クラーラの体に、力が戻った。


 「負けるもんかぁぁぁぁ!」


 そしてー、




 エミーリアの乳房に勢いよく吸い付く。


 「ひゃあああああん!?だめです!今は、敏感なのに…!」


 28歳乳母は驚愕の表情を浮かべるが、クラーラはやめない。


 そしてー、





 「いっ…あああああああんっ♡」


 「〜〜〜〜〜〜〜〜!♡」


 戦いは引き分けに終わった。








 …えーと、オレら何してたっけ?



 **** 



 「ギギッ…?」


 「よーこそリューゲン島へ。だが不法侵入は良くねえな」


 数十分後。


 ぬるぬるになったおかげで怪しまれることなく巣に侵入できたオレたちは、最深部まであっさりとたどり着けた。


 「ギギギ!!!」


 流石に大柄なボスの【タイリクヒアリ】は誤魔化せなかったらしい。


 大声をあげ、周囲の見方を呼び寄せようとした。


 ま、さっさとぶっ倒しちまおう。


 「あ、待ってユルゲン!」


 開幕ブッパしようとしたオレをクラーラが止める。


 「どうした?」


 「そのアリさん。なんだか声がおかしい気がする。なんていうか、誰かに操られてるみたい」


 「操られてる…か。【風聞】ふうぶん!」


 もう一度スキルで探ってみると、どうやら特殊な音波の影響を受けているらしい。


 音波の受信先はボスアリの頭部。






 エルデネト帝国の紋章が描かれ、中心には剣が埋め込まれている。



 「なるほどな。ちーっと痛いが、我慢してくれ。【追風】おいて!」


 襲いかかってきたボスの頭部に拳をぶち込んで、剣だけを破壊した。



 **** 


 

 「キキキ!」


 「なんて言ってるんだ?」


 「えーと…『助けてくれてありがとう』だって!」


 オレたち3人が見守る中、巨大な【タイリクヒアリ】数十匹が続々と海に入っていく。


 生物を操るエルデネト帝国のスキルから解放され、我に帰ったのだ。


 ボスの話によると、奥地で平穏に暮らしていたところを突然拉致され、スキルによる洗脳と巨大化を施されたらしい。


 生命を尊重しないあいつららしいやり方だな。


 おそらく、リューゲン島の防備を探るために放った尖兵なのだろう。


 「彼らはどこへ行くのでしょうか?」

 

 「故郷へ帰るそうだ。術を解かれちゃ向こうも補足できないだろうし、なんとかなるだろ」


 「アリさーん!元気でねー!」


 海を器用に泳いでいく【タイリクヒアリ】に声をかけるクラーラの頭を、そっと撫でた。


 「【風聞】だけじゃ丸く収まらなかったぜ。ありがとうなクラーラ」


 「ありがとう。これで、あたしもユルゲンに一歩近づけたかな?」


 「ああ。これからもよろしくな」


 「えへへ…嬉しい。あたしからもよろしくね!」




 夕日に照らされながら、クラーラはほがらかに笑うのであった。

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