おっぱいの島

第19話 触手でぬるぬるされていたおっぱいを助けると…

 そんなこんなで祭りを楽しんだ後、オレとエミーリアはトリーアの港へと向かう。


 早朝のトリーアは人影もまばらで、ほんの数日前ドンパチした形跡はまるでない。


 波も穏やかで、リューゲン島に向かって緩やかに風が吹いている。


 絶好の出港日和だ。


 「こいつが船か。恩に着るぜアデリナ」


 「そうじゃろ?いつかお主がトリーアやリューゲン島で活躍する日が来ると思っての。特別に作っていたのじゃ」


 波止場に停泊してるのは、船体を赤く塗った小型のヨット。

 

 1人で帆と舵の操作ができるが、もう1人載せて操縦を手伝ってもらうこともできる。


 ここからリューゲン島までは約3日、悪天候さえなければこれで充分すぎるほどだ。


 【赤獅子号】あかじしごうって名前にしよう。


 「じゃ、行ってくるぜ。アデリナ、エルデネトの遺した船や【震天】しんてんはお前に預ける。何か役に立ちそうなもんができたら連絡してくれ」


 「任せるのじゃ!トリーア中の職工にくまなく分析させるのじゃ!」


 見送り人の1人、アデリナはにしししし!と笑った。


 「ジジイ。捕らえられていた子供の送り届け、捕虜としたオーク兵の処置、それと…頼んだぞ」


 「がははははは!心配するなあ!これでも俺は軍人の端くれ!言われた任務は無事果たすぞ」


 ジジイとも一旦お別れだ。


 いきなり【南方艦隊】がリューゲン島に現れると意図がバレバレだからな。


 つーわけで、ちょっとした仕掛けを…おっと、これはその時にまた話そう。


 とにかくまたオレはエミーリアと2人になる。




 だが、数日後にはリューゲン島に到着だ。


 おっぱいの天国にしてオレの故郷。


 今から楽しみだぜ。


 「じゃ行くかエミーリア!」


 「はい!行きましょう、あなたの望む場所へ」


 帆を高く上げ、赤い帆船は大洋ヘと進み出す。


 「【風任せ】かぜまかせ!」


 風の流れも変え、航海の準備はばっちりだ。


 「たまにはトリーアにも顔を見せるんじゃぞー!」


 「おっぱい皇子、リューゲン島のおっぱいはしばらくお前に預けるぜー!」


 別れを惜しむ声と共に、船はどんどん速度を上げていく。


 「…守ってみせるさ。リューゲンもトリーアもな」




 やがてトリーアの街はみるみる小さくなり、水平線の彼方に消えていった。



 ****



 「ふう…暇だなぁ。なんだかあたり一面、海しかねえや」


 「そんなことはありませんよ?ほら、トビウオの群れが向こうに見えます」


 「お、ほんとだ。昼の飯はあいつにすっか」


 2日後。


 エミーリアと取り止めもない会話をしながら、【赤獅子号】あかじしごうは順調にトリーアへの航路を進んでいる。


 懸念していたエルデネト帝国の影も見当たらず、海は平和そのものだ。


 「しかし、日差しがやはり熱いですね…メイド服水着に着替えて正解でした。ふぁぁ…昨日はユルゲンに散々揉まれて、寝不足です…」


 ぽよんっ!


 エミーリアが伸びをすると、胸にひらひらのレースをあしらった白黒のビキニが揺れる。


 どんな時でも、世話係としての使命は忘れてはいないのだ。


 「あっ…!胸の谷間に魚が入って…くぅん…ニュルニュルして、感じちゃいます…」


 「やれやれ。待ってろ、今はがす…おっ!見えてきたぞエミーリア!」


 「え?」


 「リューゲン島だ!間違いない!オレたちの故郷だ!」


 水平線の向こうにわずながらに見えてきた、お椀型の島。


 中央の盛り上がりは【トモーロス山】、東側の砂浜は【ポセイドン浜】に違いねえ。


 いよいよ、オレの計画も本格始動だ!




 「よっしゃ急ぐぞ!あと30分もすれば着くはずだ!到着の用意をー」


 「あれは…待ってください!」


 「むっ、どうした?」


 「西側の海で、誰かが襲われているようです」


 「リューゲン島の人間?」


 「オークやエルデネト人ではないようです。あっ!捕まりました!」


 「よし!」


 オレは舵を西に切り、【赤獅子号】あかじしごうの方向を転換する。


 そこにはー、






 「きゃあああ!触手に服が…いやっ!全身、むにむにしちゃだめええええ!」

 

 巨大イカに美少女が襲われていた!



 ****



 「ジュウウウウ…」


 目玉が8個、触手も8本。


 クジラ並みのデカさがあり、触手も人間数人分の長さだ。


 確か、【ヒガシダイオウイカ】って品種だったはず。


 エルデネト近海でしか生息していない外来種だが、流れ者が1匹やってきたか。


 「こんな触手、あたしの手で…いやっ、ぬるぬるした粘液で、手が滑るっ!」


 今は3本の触手で1人の少女を捕らえ、海に引き摺り込もうとしていた。


 ぬるぬるとした粘液でか弱い女性の全身を包み込み、着実に体力を奪っている。


 とっくに服は剥ぎ取られ、南国の太陽にほどよく焼かれた茶色の肌とー、



   

 普段は水着に隠されている白いおっぱいがよく見えた。


 まだ全盛期には達していないが、その熟れてない瑞々しさが特有の色気を放っている。


 手に収まるサイズ、淡い桜色の先端もすばらしい。


 俗に言う【若乳】成長が楽しみ、でも成長してくほしくない…ということか。


 こんがり焼けた茶と、真っ白な白のコントラストが、オレにいけない感情を呼び起こした。


 「ひゃああああんっ!おっぱい、吸盤付きの触手でグニグニしないでっ…けほっ、粘液で、息も…力が抜け、ちゃう…」


 抵抗していて少女の瞳から光が消えると、イカの目が少し細くなる。


 「ジュジュジュジュ!」


 やけに嬉しそうだな。


 イカのくせにそんな感情あるのかよ。


 「エミーリア、船は頼んだぜ」


 「お気をつけて!」


 誰であろうとー、



 

 「【風脚】かざあし!」


 リューゲン島の人間に手を出すやつはオレが許さん!




 船体を飛び出し、風魔法で一気に距離を詰める。


 「ジュジュッ!」


 【ヒガシダイオウイカ】の8本の目が素早くそれを捕捉し、残る触手をオレに伸ばしてきた。


 粘液がぬるぬると滴っているのがよく見えるが、オレは触手プレイなんて趣味はねえ。


 


 「少しもったいねえが…こいつの肉はまずいらしいし…構わねえか」


 オレは【ヒガシダイオウイカ】を葬るのにぴったりの技を発動する。




 「【風解】ふうかい!」

 

 気づいていないイカ野郎は構わずオレを触手で捕らえようとするがー、




 「ジュ…ジュジュッ!?」


 自らの異変に悲鳴をあげる。


 触手の先端が干からび始めたからだ。


 生物の水分を一瞬で奪う風にさらされ、みるみる全身が枯れ、朽ちていく。


 「ジュ…ジュジュジュジュ〜〜〜〜!」


 最後の断末魔をあげ、【ヒガシダイオウイカ】はあっという間に干物になった。



 

 「あ…」


 触手がガラガラと崩れ、囚われていた少女も海に落ちていく。


 それを間一髪抱き抱え、オレは船へと戻った。



 ****



 「大丈夫か?」


 「ここは…あ、あなたたちは!?」


 「通りすがりのおっぱい無職だ。体がぬるぬるなのは我慢してくれ」


 【赤獅子号】あかじしごうの上で介抱してると、少女が目を覚ます。


 どうやら怪我はないようだ。


 「エミーリア、とりあえず見ておいてくれ。とりあえず島に向かう」


 「分かりました。しかし…」


 「うん?」


 


 「この方、どこかで見たことがあるような…」


 エミーリアと同時に、少女もはっとした表情を浮かべる。


 「エミーリア…じゃあ、この男の人は…え〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?」


 ギシギシ!ヌュルヌュル…


 「うわっ!なんだ!おっぱいと船を揺らすんじゃねえ!」


 「あ、あたしだよユルゲン!」


 おっぱいが見えているのも構わず、ショートカットの少女はオレに詰め寄る。


 


 「昔あなたと幼馴染だった…アルノルト!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る