第38話 おっぱい達との防衛プラン

 というわけで、バカ兄貴の艦隊を迎え撃つ準備を始めることにする。


 トリーアの街にいる【おっぱいなんでも鑑定団】ことアデリナには、クラーラが【交信】した鳥を使って手紙を送った。


 ーバカ兄貴がクラーラの港に到着したら通報するように。危険生物のため餌はやらないこと。


 こう書けば意味は通じるだろう。


 …そもそもちゃんと辿り着けるかどうかも不明だが。


 まあそれじゃつまらんし、えっちらおっちらこちらにやってくると仮定しておこう。


 さて、問題はリューゲン島にあいつらが上陸した時どうするかだ。


 エルデネト帝国の都合の良いように動いてるとはいえ、バカ兄貴の率いる兵も元はといえばザールラントの臣民。


 素直に【南方艦隊】をぶつけて、同士討ちなんてことになってもつまらないだろう。


 いずれは一丸となって帝国の侵略に立ち向かわなければならないのだから。


 オレが最初から派手に暴れて戦意を喪失させても良いが、どうせならみんなにも戦いの経験を積ませておくべきなのかもしれない。


 エミーリア。


 クラーラ。


 【南方艦隊】とカールハインツの爺さん。


 アメリー。


 そしてリンダ。


 みんなが力を合わせれば、この戦いを無血で終わらせることもできるはずだ。


 そのために…




 


 一度は【ポセイドン浜】に奴らを上陸させよう。


 それ以外は断崖が続くリューゲン島の地形を考えると、上陸地点はそこにしかない。


 浜といってもリューゲン島の片隅にあるちっぽけな浜だ。


 バカ兄貴の軍勢が船から降りたら、戦いに不慣れな貴族どもと、金で動く信用ならない傭兵たちで浜はすし詰め状態になるだろう。


 遮蔽物や逃げる場所のない、いわゆる死地ってやつだ。




 そこを叩く。 



 ****



 「うーんしょ…弟くんのためならえんやこら…【大地讃頌】!」


 すっかり島の住民として馴染んだリンダが【ポセイドン浜】で地属性の魔法スキルを発動した。


 茶色のサラサラとした髪に、この島の女性が着る民族衣装がよく似合ってる。


 サラサラサラサラ…


 砂浜から音が響き、地形が作り変えられていくさまを観察する。


 ー侵入者を盛大に歓迎する落とし穴。

 ー構わず進もうとした者の足に、アリ地獄のごとく脚にまとわりつく流砂。

 ー島の内部に入り込めないよう傾斜をつけた坂。


 上陸したものはたちまち立ち往生し、砂の中で敵を怯え待つ他なくなるだろう。


 まさしく『手厚い歓迎』ってわけだ。


 「流石です義姉上。これでバカ兄貴も己の判断の愚かさに気づくでしょう」


 「うん!でも、ちょっとこの浜だけじゃ。物足りないかな。弟くんのためなら、リューゲン島全域を砂の防壁で覆うこともできるよ!やってみる?」


 「おうふ…それはエルデネトの奴らがやってきた時にしましょう。バカ兄貴にはもったいなさすぎます」


 「そうかな?残念…」


 平然と言ってるけど、オレも島全体を覆う風魔法とかなかなかしんどいからね?


 さすが100年に1度の天才である。


 惜しむらくは、水が広がる海では活動が制限される点か。


 リューゲン島周辺が活動範囲となるため、エルデネト帝国艦隊に殴り込むのは難しそうだ。


 ばいいいいいんっ!


 「きゃっ…もう、また服が破けちゃった。弟くん、もっと大きい服なぁい?」


 「ありません!」


 「そう。暑いからこのままでいいかな。そうだ!ちょうどいいから、弟くんをぱふぱふしよーっと」


 「おうふ」


 とにくかく、【ポセイドン浜】の防衛施設である【侵略の報い】の建設は、リンダに任せてよさそうだ。



 ****


 

 【侵略の報い】をなんとか苦労して突破したものがいることも想定し、【ポセイドン浜】の向こうにも罠を設置することにする。


 「ひゃあああん!?クラーラさま、そんなに強く押し出すように握っちゃ、エミーリアのおっぱいが壊れちゃいます…!」


 「新しいスキルの出が悪いって言ったのはエミーリアさんでしょ?えいっ!」


 「だめっ…そんなクリクリと刺激を与えたら…!もうっ…!」


 背後から褐色っ娘のクラーラがエミーリアに襲いかかっていた。


 ふにゅっ…ぐにゅ…


 はだけたメイド水着がはみだした【母なる乳】が両手で鷲掴みにされており、執拗にもみもみと触られている。


 白い髪をいやいやとなびかせても、クラーラは止めてくれない。


 「えーごほん。2人とも準備は順調か?」


 「あ!ユルゲン!私はもう準備終わったよ〜あとはエミーリアさんなんだけど…」


 「出ちゃう…ごめんなさー〜〜〜〜〜〜〜!」


 ドピュッ!


 エミーリアが両足をガタガタと震わせた瞬間、オレの顔に冷たいものがかかる。


 無色透明の液体。


 その感触をほおに感じた瞬間ー、




 オレの体から力が抜け、その場に倒れ込んだ。


 「ああっ!?ユルゲン、大丈夫ですか?」


 「問題ない。それより【痺れ水】は完成したみたいだな。ピクリとも動けねえ」


 「は、はい。これを飲料水と見せかけて、敵に飲ませるんですよね…?恥ずかしいですけど…」 


 「すまないな。この戦いが落ち着いたら、またいっぱい飲もう」


 年甲斐もなく恥ずかしがる乳母は今日も可愛い。


 「クラーラも動物たちとは話がついたのか?」


 「ばっちりだよ!動物さんたち、ここに悪い人がやってきたらみんなで懲らしめるって!」


 「上出来だ!」


 2段構えの罠があれば、バカ兄貴の兵士たちはほぼ壊滅状態となり、攻撃どころではなくなる。


 そうなれば、再び船に乗って逃げようとするはず。


 あとは奴らの退路をどうやって断つかだ。



 ****


 

 「アメリーのおっぱい、大きくなあれ♡あのおっぱいお化け義姉より大きくなあれ♡」


 その退路を断つ担当を尋ねに【トモーロス山】に行くと、金髪小悪魔系クソガキが自らの胸を慰めていた。


 ふにゅにゅにゅん…!


 うん。


 音が変わってないから、サイズに変化はなさそうである。


 「あ♡先輩♡ちょうどよかった、アメリーの膨らみかけの蕾を大きくする手伝いをー」


 「その前に1つ確認したいんだが…狙撃はできそうか?」


 「大丈夫です♡ノロマな船なんて一撃で沈められますよ♡」


 「そうか。頼りにしているぞ」


 「はい♡じゃあ…」


 「夜になったらな」


 「ああん♡先輩のいじわるぅ♡」


 とにかく、これで準備は整った。


 島民と安全な場所に避難させてある。






 あとは、バカ兄貴たちを待つだけ!

 

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