第2話1年生になったら?
今日は、担任が発表される日だ。
「3組の主担任は…冴島先生、よろしくお願いいたします」
「はい」
「副担任は…児嶋(こじま)先生、よろしくお願いいたします」
「分かりました」
今年度1組の副担任だった万里にとっては、初めての主担任になる。
“不安だな…”
そう思っていると、4組の主担任になる西山 弘次(にしやま ひろつぐ)が話しかける。
「冴島先生、大丈夫ですよ。僕も最初は緊張しましたから」
「そうなんですか?」
「何それ?“意外だな~”って思った?」
「はい…すみません」
「イイってことよ!万(ばん)ちゃんは真面目だから!真面目すぎて、男子にも女子にもモテモテ~!」
そういう弘次も明るい性格だったためか、生徒から人気者だった。
「西山先生うるさいですよ!…はい、4組のクラス名簿。冴島先生もどうぞ」
そう言われて、学年主任の水口(みずぐち)からクラス名簿を渡される。
“あ!あの子だ!!【河村 美有希】。僕のクラスなのか…”
一般入学者選抜の面接の際、万里に話しかけて来たセーラー服の女学生だ。
ずっと気になっていた──。
“これも、何かの『運命』なのかな…?”
そう思っていると、弘次がまた話しかけてくる。
「冴島先生。大変なのはこれからですよ!」
「えっ?」
「どんな生徒が来るか分かりませんからね。『高校デビューしま~す!』とかって弾(はじ)けちゃう子も、たくさん居ますから。面接の時には真面目だった子達も…(笑)」
「あぁ…そうですね~」
万里は、今の1年生である生徒達を思い出していた。
校則を破る髪の色や化粧・スカートの短さ…。
今の1年生である生徒達が面接の際には大学生だったため万里は知らないが、つい最近面接に来た中学3年生である生徒達と比(くら)べたら、何となくは分かる。面接に来ていた生徒達は、みんな真面目そうで、『高校デビューするぞ!』的な生徒は見受けられなかったが…。
“自分のクラスにも、『高校デビュー』する子とか居るのだろうか?”
そう思うと、かなり不安になる。
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