第17話忠告

「万里。ちょっと良いか?」

「西山先生?はい。何でしょうか?」

“西山先生が「万ちゃん」って言わないなんて珍しい…”

そう思いながら、相談室に向かう。


「もしかして…3組の河村 美有希の事、好きだったりする?」

「──」

「当たり、か。…で。いつから?」

「初めて会った時に気になって…」

「入学式か?」

「いえ。3月の一般入学者選抜の面接の時です」

「う~わ!じゃあ、もう4ヶ月くらい?」

「はい…」

さすがに、弘次も驚いているようだ。


「じゃあ、一目惚(ぼ)れか?」

「…に近い…ですかね」

「教師と生徒の恋愛か…。結構大変だぞ~。河村の方は、まだこっちを向いてないんだろ?」

「はい──」

万里の脳裏には、『隣の家のお兄ちゃん』がシルエットで浮かんでいた。


「オレの教師人生の中でも教師と生徒の恋愛は数件あったけど…。結構大変そうだったぞ。もちろん、教師側は文句とか言われたりな~」

「ですよね…」

「まず、生徒側の両親が文句とか言うだろ?『教師が手出すなよ!』とか『教師のクセに何考えてるんだ!』とか怒られたりな」

「そうですよね…」

弘次の話を聞くと、段々暗くなっていく──。


「とりあえずは、河村が卒業するまではバレないようにしなきゃな!オレも応援するから!!」

「ありがとうございます」

「万ちゃんは、すぐに顔に出ちゃうからな~」

「すみません」

「じゃあ、行くか!」

「はい」

そう言って、2人は体育館へ向かった。

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