第18話募る想い
「河村さん、よく頑張りましたね」
「冴島先生。私、信じられない…」
期末試験で美有希が学年トップを取ったのだ。
「あれから、お兄さんは帰って来ましたか?」
急に美有希の表情が曇った。
“ヤバい…。話題変えなきゃ”
「まだ帰って来てないみたいです…」
「そう言えば…。9月の文化祭のステージでの出し物、何にしたら良いか良い案はありませんか?」
「えっ!?」
「明日のLHR(ロングホームルーム)で話し合いをしようと思っています。いくつか案を出しておいてくれたら、大変助かります。よろしくお願いいたします」
「分かりました」
「では、僕は部活に行ってきます」
「行ってらっしゃい」
そう言って、2人は図書室を出た。
“「行ってきます」・「行ってらっしゃい」って、まるで夫婦みたい…。”
2人は同じ事を考えていた。
“冴島先生。私の事すごく心配してくれてるみたい。嬉しいな…。信用しても良いのかな?”
“河村…まだ、『隣の家のお兄ちゃん』の事好きなのかな?”
万里はまだ、少しずつ美有希の気持ちが自分の方に傾(かたむ)きつつある事に気付いていなかった。
“やっぱり好きだ!”
想いばかりが募っていく──。
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