第14話『先輩風』って、どんな風?

「今日から大学生が教育実習で6人来られます。──英語は…冴島先生、よろしくお願いしますね」

「はい、分かりました」

“教師2年目で、研修生を任せられるものなのかな?”

万里がそう思っていると、弘次が話しかけて来た。

「やっぱり、ネイティブな英語が話せる万ちゃんにご指名が来ましたか!スゴいよね。さすが冴島先生!」

「そんな…」

確かに。万里は帰国子女だが…。

「でも…。西山先生は、昨年も受け持っていたし、今年も研修生を受け持つじゃあないですか。何かアドバイスとか無いですか?」

「そりゃあ…ね。何回かはやってるけど。先輩風を吹かせてりゃあイイのよ」

「『先輩風』?」

「そう!そして、いつも通り授業して、優し~くアドバイスすればイイってことよ!」

「はぁ…」

「大学の研修の時、やってもらったようにやったら良いんだよ!──まぁ…オレが実習生の時は最悪の教師だったけど。冴島先生の時は?」

「僕の時は、温かく見守ってくれる優しい先生でした…」

「じゃあその先生みたいにしたら良し!」

「分かりました。やってみます。ありがとうございます」

万里は、弘次に一礼した。


「はい。今日から教育実習に来てくれる先生の紹介です。今年は6人です。そちらから順番に、自己紹介をしてください」

校長の萩野(はぎの)が促(うなが)す。

「国語を担当します立花(たちばな) あかりです。よろしくお願いいたします」

「よろしくお願いします」

「国語は…西山先生、よろしくお願いいたします」

「英語を担当します柴田 誠(しばた まこと)です。よろしくお願いします」

「英語は…冴島先生、よろしくお願いいたします」

「はい。分かりました」

そして、残り4人の自己紹介も終わった。


「柴田先生。僕じゃあ役不足かもしれませんが、分からない事があったら何でも聞いてくださいね」

「はい。ありがとうございます」

職員室から教室に向かう間、柴田先生と話す。

「冴島先生って、帰国子女なんですね?4組の先生が言ってました」

「あぁ…国語の西山先生ですね。9年ほどですが、日本で言う小・中学校の間…ですかね。高校入学を期に、帰国したんですよ」

「スゴいですね!だから英語の先生になったんですか?」

「…確かに。『英語が話せるから英語の教師になった』というのは、理由の1つにはありますかね…」

“そういえば…。僕は、どうして教師になったんだろう?”

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