第13話『好き』の意味
月曜日。
今日は、もちろん学校の日だ。
「おはようございます」
「はい。おはようございます」
「冴島先生!グッモーニン♪」
「Good morning.」
「さすが先生!」
「ありがとう」
職員室に着くと、土屋が話しかけてきた。
「冴島先生!おはようございま~す」
「土屋先生、おはようございます」
「今日も、カッコいいですね~」
「いや…」
「もう謙遜(けんそん)しちゃって!でも…そんな先生が、大好きですよ!!」
「はぁ…」
“『大好き』か…。土屋先生は既婚者だから、『like』の方なんだろうな”
「おはようございます」
「はい。おはようございます」
朝のSHRが始まった。職員朝礼で言われた事やその日の予定を手短(てみじか)に話す。
“そういえば…。松永(まつなが)にも告白されたな。あれは、『love』の方なんだろうな”
その夜。
「兄さん。ちょっと良いかな?」
万里が健人の部屋のドアを叩(たた)く。
「どうした?珍しいな」
「うん。ちょっと恋愛の相談にのってもらいたくて…」
「例の女子生徒の話か?──良いぞ」
美有希の話だ。
「──で。『やっぱり僕は彼女が好きだ!』って気付いちゃって…」
「『love』か…」
万里は、深く頷(うなず)く。
「“彼女はどうなのかな?”って、ずっと気になっちゃって…」
その頃。河村家では、美有希が家族と夕食を食べていた。
しかし…さっきからずっと、箸(はし)が止まっている。
「美有希!食事中よ!!」
「あっ!ごめんなさい…」
何とか食事を終え、自分の部屋に戻る。
「『悩み事があったら、何でも言ってください』…か」
美有希は、放課後に言われた万里の言葉を思い出していた。
「もう何回目だろうな~」
──そう。万里は、入学してからずっと元気の無い美有希を心配し、声をかけ続けていた。しかし、それをずっと断ってきていた。
「先生に言っても、解決しないもんね…」
そう言ってカーテンを開け、遠くを見た。
「お兄ちゃん。早く迎えに来て…」
そう言った後、カーテンをゆっくりと閉めた──。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます