第5話大人のウソ

オリエンテーリングが終わった夜。キャンプファイヤーの職員クイズが進んでいく──。


「次は、3組の主担任の冴島 万里先生に関するクイズです!」

それまで万里が司会をしていたが、弘次に代わった。

「冴島先生は背が高くてカッコ良くて顔の彫りも深いですが…。実は、クオーターである。◯(まる)か×(ばつ)か?」

「ねぇ由起(ゆき)。『クオーター』って、何?」

美有希が、一緒に動いている渡辺(わたなべ) 由起に聞いてみる。

「さぁ?でも…バスケだと、4分の1って意味だけど」

「じゃあ…とりあえず、×にしとく?」

そう言って、美有希と由起は、×の方へ向かう。


「じゃあ全員決まったな。正解は…冴島先生、お願いします!」

「はい。僕の父は日本人ですが、母親は中国人ですので…僕はハーフなので、正解は×です。ちなみに、クオーターは4分の1という意味で、おじいちゃんかおばあちゃんが外国人という意味です」

会場中がどよめいている。

「え~!冴島先生、日中のハーフなんだ!スゴいね!!」

「マジで!?」

美有希や由起も驚いている様子だ。


“みんなごめん。実は僕は──”

どうやら万里には、みんなには言えない秘密があるようだ。

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