第6話隠したい過去~冴島家の秘密~

本当は、万里は日中のハーフではない。


中国人である愛鈴は、健人と亜矢の本当の母親ではあるが、万里の産みの母親では無いのだ。

要するに、2人とは異母兄弟になる。


では、万里の本当の母親は誰なのか?

それを知るためには、25年前にさかのぼる──。

万里達の父・冴島 修一(しゅういち)は当時同級生の女性と不倫をしていた。

万里は、その女性との間に出来た子どもなのだ。

その女性・川上 美咲(かわかみ みさき)は、日スウェーデンのハーフ。


つまり万里は、日スウェーデンのクオーター人という事になる。


美咲は万里を1人で育てていたが、万里が3歳の頃に病死したため、そのまま修一が引き取ったのだ。


それからというもの、万里は愛鈴から虐待に近い仕打ちを受けていた。

明らかに健人や亜矢とは違う仕打ちを受ける事もしばしばだった。

もちろん、叩かれたりする事もあった。


しかし家族で帰国し高校入学の際修一が愛鈴の暴力を懸念し、全寮制の学校に入れたため、それは無くなった。

万里が成長するにつれ、体格が良くなった…という理由もあるだろうが。


万里の兄・健人が初め精神科医を目指していた理由も、万里と愛鈴との関係が原因だった。

『万里や愛鈴のような人達を救いたい』と思っていたのだ。


しかし、健人は途中から、初期研修の際担当したバツイチ子持ちの女性・橋本 香織(はしもと かおり)に一目惚れし、小児科医を志(こころざ)した。

香織には、健人が研修医時代小児科で担当した交通事故で入院した子ども・敬太(けいた)が居た。しかも病気がち。

“敬太君みたいな子を救いたい”──次第にその思いの方が強くなっていったのだ。


ちなみに…。大学2年生の亜矢には、秘密など無い。

お調子者で明るい性格で、今は高校時代に知り合った柳井 幸子(やない さちこ)と付き合っている。2人共保育士と幼稚園・小学校教諭の免許を取得するために、日々勉強にはげんでいる。


万里にはまだ秘密があるが…。

それは、また後で。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る