「みんなは、『恋』をした事がありますか？」

「ありま～す！」

「無いで～す！」

「じゃあ、人を愛した事はありますか？」

「？先生！『恋』と『愛』って、どう違うんですか？」

「『恋』は『見返りを求める物』・『愛』は『見返りを求めない物』だと、僕は思っています」

「──」

「僕は河村さんに出会って、『恋する事』と『愛する事』の両方を教わりました。相手に対して“何で自分に振り向いてくれないの？”とか誰かと仲良くしていたのを見て嫉妬(しっと)しているうちは、まだ『恋』だと僕は思います」

「じゃあ…『愛』…は？」

「『見返りを求めない事』。つまり、『そんな事を思わず、そんな相手の全てをひっくるめて好きになる事』だと思っています」

「素敵──」

「みなさんも、いずれ『愛する人』が見付かると思います。その人を大切にしてください」

こうして、万里の『最後の授業』が終わった。

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