第27話秘密~秘められた想い~

『先生と生徒』

しかし、万里はとっくに美有希にひかれ、そして美有希は万里に恋心を抱きつつあった。


“でも…秘密にしなきゃ。この気持ち、絶対にバレちゃいけない──”

真面目な2人は、そう思っていた。


“あと、もう少しで全部思い出せる──”

美有希は、日記帳を読み返していた。


「こんにちは。河村さん?」

「先生」

数十分後。万里が美有希の家を訪れていた。


少しして、電話が鳴った。

リビングに降り、受話器を取る。

「もしもし、河村ですが…」

「河村さんのお宅ですか?」

「はい。そうですが…」

“あれ?この会話──”

「河村 絋美さん、いらっしゃいますか?」

「母は…。死にました」

「えっ!?」

「失礼します!」

そう言って美有希は一方的に電話を切ってしまった。

「そうだ。お父さん・お母さん・省吾…死んじゃったんだ…」

全てを思い出した美有希は、そのまま気を失ってしまった──。


ガターンと大きな音がして、万里はリビングに向かった。

「河村さん!河村さん!?」

万里が美有希を抱き抱え揺さぶると、美有希はすぐに気が付いた。

「冴島先生…。全部、思い出しました。私以外の家族全員、交通事故で死んだ事も──」

「河村さん…」

「先生!私、怖い!!」

そう言って美有希は、万里に抱き付いた。

「──!」

美有希は、ガタガタと震(ふる)えている。

「先生、助けて…」

万里は、涙が溢(あふ)れている『生徒』を前に抱きしめずにはいられなかった──。

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