第40話離任式

4月になった。

万里は離任式に参加するため、久し振りにスーツに袖(そで)を通した。



離任式が始まった。

弘次が司会進行を行っている。


「冴島先生。よろしくお願いいたします」

万里が壇上(だんじょう)に上がる。

「冴島先生ー!」

ものすごい歓声だ。


「大学を卒業してすぐにこの高校に赴任(ふにん)して丸2年。色々な事がありました──」

万里は軽く挨拶をし、再び椅子に座った。



「冴島先生!また遊びに来てくださいね!」

たくさんの女子生徒から花束をもらう。

「ありがとうございます」

万里は、ニッコリと笑う。

「キャー!!!」


「冴島先生。大人気じゃ~ん!」

職員室で、弘次が万里の腕に自分の腕を回して言った。

「西山先生…」


「…で。結婚はいつなんだ?」

「まだ付き合ってもいないんですよ、僕達…」

「えっ!?…あ!そっか──そうだな~」

少し考えて、弘次が言う。

「これから付き合って、プロポーズして、引き受けてくれたら…ですかね?」

「でも…『交際0日婚』っていうのもアリかもよ?」

「それはさすがに…」

「真面目か!!」

2人は、顔を見合わせて笑った。

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