第44話忘れないよ。君を好きでいた時間。

万里が河村家に着き、緊張した面(おも)持ちでインターホンを押す。


「は~い。…先生?」

少しして、美有希が出て来た。


「河村さん。結婚を前提に付き合ってください!!!」

万里は、右手を美有希の前に差し出した。

「──はい。こちらこそ、よろしくお願いいたします」

そう言って美有希は、万里の手を握(にぎ)った。


「中にどうぞ」

「お邪魔します…」

家に入るように促(うなが)され、万里は中に入る。

“もう、何度お邪魔しただろうか…?”


「先生?2階に上がりましょうか?」

「えっ!?…はい…」

そして2人は、2階に上がった。

美有希の部屋だ。

“そういえば…。河村の部屋には、あんまり入ってないんだよな──”


「先生?私を選んでくれてありがとう」

「河村さん…」

「とっても嬉しいです」

「僕も。お付き合いを快諾(かいだく)してくれて、とても嬉しいです…」


「先生?抱きしめても…良いですか?」

「河村さん?」

美有希は、万里が自分の名前を呼び終わらないうちに、万里を抱きしめていた。



「校長先生が言っていた『人を愛するという事』、私に教えてください…」

「──分かりました…」


そう言って2人は、唇を重ねた。



こうして、2人の生活がスタートした。

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