第4話最近ちょくちょく商業ギルドへ。
最近はプロテクターを3つずつ1ヶ月おきに納品するのに、港の商業ギルドへ行っている。
魔物退治には凄く重宝されているのだが、それと同時にプラスチック製品の盾を3つ買ってみた。
同時にノーパンクリアカーを買って載せたよ。
しんどいからね。
「こんにちはカルムです。まいどー」
「あっ、どっ・・・」ガタガタ。
「大丈夫ですか?」
「カルム様がいらっしゃるのでつい」
「そんなに慌てなくても」
「あははウェステラは、お前さんを他の受け付けに取られたく無いのさ。大事な旦那様候補だものな。ククク」
「ギッギルド長~」
あの人がギルド長か、初めて見たなあ。
「ヴッ・・・ウェステラざあ゛ん・・・」
「大丈夫ですか?」
「じだがみまじだ(舌噛みました)」
「個室で商談して下さい。それ新しい品物ですよね。なので」
ギルド長に言われたので個室で見せる事にした。
「いかがわしい事は控えろよウェステラ」
「ギルド長後でたっぷりお話しし・ま・しょ・う」
「ひゅう~こええー」
それから1ヶ月半してウェステラさんが店に来た。2回目のプロテクター納品の時に、ウェステラ・フェンリスって彼女の名前初めて知った。
「やっぱりそう成りますよね」
「隔月で良いので、3つづつ欲しいとの事です。あれって壊れないんですか?」
「叩いてみます」
僕は護身用に買っておいたプラスチック製の盾を出して、ウェステラさんに斧で殴って貰った。
ゴンッ!。
「凄い!、傷も付かないなんて」
「暴動の鎮圧なんかに使われる代物ですからね。」
ガラガラ・・・
「ウェステラ!」
「俺様の求婚を蹴ってこんなガキと・・・」
「何しに来たんですかオースティン」
「あん、俺様の邪魔をするガキを懲らしめに来たのさ」
「ふざけないで、カルムは14だけど、あんた何かよりよっぽどしっかりしてるわ」
「おいおい、俺はマルテン商会の跡取りだぞ。こんなボロ店のガキと一緒にするなよ」
「悪徳商会のどら息子に嫁ぐ女の人なんていないわよ!。カルムは誠実でとても優しくて頼れるんだから」
オースティンと言う男は舌打ちすると帯刀した剣を抜いた。
「きゃっ」
ウェステラさんは僕の後ろへ逃げて来た。僕はとっさに透明な盾を持って構えた。
「へっ・・・何だそりゃ」
バンッ・・・!。
「何い?」
剣で盾を壊そうとしたオースティンだがびくともしなかった。
バンッ、バンッ、バンッ。
立て続けに剣を振り回してたオースティンが、ゴンッと、鈍い音と共に膝から落ちた。
後ろには何時かの近衛士長さんが剣をオースティンに向けつついていた。
「うん気絶してるな」
「あっ、有り難う御座います。助かりました。ふう~・・・」
安堵してその後ろに9人くらいのプロテクターを着けた人が居るのに気付いた。
「・・・この村に魔物でも出ました?」
「あー、いやいや。この店の警備の為にね。早速お役に立てて良かったですな」
「はあ?・・・この店の警備ですか」
「そう、こんな品物売ってる店なんて無いからね。国で守る事に決まったんだ。幸い大きな空き家が有ったから、そこを陣屋に買い受けようと村長に会いに行く処さ」
「3名程警備に表に残しとくね。気を使わないで、ほっといて良いから、職務なんで」
「じゃあまた後で」
ズルズル、ズルズル。気絶したオースティンを引きずりながら、行こうとしたので、近衛士長さん達にリヤカーを貸してあげた。
長机と長椅子のセットを買って店の軒下に置いた。
「どうぞこちらをお使い下さい」
「これは、申し訳無い。有り難く使わせて貰います」
2人は座ったが一人は、2人と反対側に立ったままだ。
不思議そうに見るとその人は。
「警備ですので必ず一人は辺りの警戒を続け無くてはなりません」
成る程。
飲み物を出してあげた。
「毎日警備しますのでお気を使われますと、当方が困りますからどうぞ石像の様に接して下さい」
「あっ、すいません。逆に気を使わせましたね」
「その通りです」
ぶっきらぼうだが、そうしないと気疲れするのだと察した。
「それではせめて」と、保温水筒を渡しておいた。
大変だ警備も。
でもまさか僕のお店がこんな事に成るとはね。
「粗方掃除も済んだな。ベッドとか村で売ってるかなあ?」
「カルム様の店なら・・・」
「様を付けるな、出来るだけ普通にする様に」
「そっ、そうでした。でも何故本人に気付かせる必要が」
「最終的に本人の申告が無いと神がお認めにならないのだ。過去に本人が渋って、10年も不在だった事が有るんだ」
「もし逃げられたら?」
「永遠に不在も有るかもな。でも天恵が他とは際立ってチートだから目立つけどな」
「何で本人は気付か無いのでしょうか?」
「カルムは欲が無いのだ。だから儲けようとしていない。まあ天然坊やだろうな」
「普通あんなチートな天恵なんて無いのに?」
「だからこそ選ばれたのだ」
「さっきは様無しで呼んでくれましたね。嬉しかったです」
「あっ、いや咄嗟で。すいません」
「いえ、ずっと堅苦しかったんですよ。普通に呼び捨て欲しかったんです」
「あっ、でも大事な御客様なので・・・」
「それじゃ僕が様無しで呼ばれる様に頑張ります」
「頑張るって?」
「そんな仲になろうと努力します」
ウェステラさんは少し黙ってしまった。早まったかな?。
「あのう店主。ベッドとか売ってるかな?」
良いのか、悪いのか、そんなタイミングで衛士さんに声をかけられた。
「有りますよ。布団も毛布も。ただいっぺんに全員分は無理です」
「何人分有る?」
「三人ですね。ベッドに成るソファーも含めたら6人分は有りますよ」
「それ全部買いたいんだけど」
「それじゃ一つづつ運んで貰えます」
ベッドは三回に分けて衛士が運んだ。その間僕はウェステラさんと、リヤカーでソファーベッドを運んだ。
これはサービスです。ソフトドリンクを20本と菓子パン40個手渡した。
「いやこれは多いよ」
「いえいえ、かなりの売上ですからね。サービスさせて貰います」
「わかった貰っとくよ」近衛士長は羽布団を何回も触って言った。
「それはお買い得ですよ。たまたま安売りしてたので、買溜めしておいたんです」
そう本当に安かったので、20セット買ったのだ。
ちょっ欲を出したかなと反省した。
数日後オースティンの父親が詫びを入れて来た。
「今後彼をウェステラさんに近付け無いで下さい」
「それは・・・大丈夫だ・・・」
「・・・・・どうかしました?」
「息子は死んだ」
「えっ・・・」
今年の流行り病で呆気無く、亡くなったらしいが、日数的に流行り病はどうだろう?。
咳や喉の痛みを訴え、高熱で一晩の内に亡くなったらしい。
そんな事が有るんですねと、香典変りに蝋燭と線香と御菓子を供物として渡した。
何故か一月後から蝋燭とポエムってお菓子がバカ売れ。
そのポエムを食べながら衛士の一人が、バカだなあの息子は、でも親まで死ななくて良かったと言っていた。
・・・そんなに恐ろしい流行り病だったんだ。
僕はウェステラさんに感冒薬を分けてあげた。気を付けねば。
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