第34話ペット禁止。

面倒なんだけど、焼酎なんかは村で売る分や船員さん達には、ペットボトルを返して貰う事にした。

ジュースなんかは紙パックだけにした。

村でやっぱりペットボトルの問題が出て来たからだ。


漁師さんとかブイにしたりしてるけど、数が多いからねえ。

やはり処分に困ってしまう。

時には水筒替わりになるけど、そんなのは微々たる物だから。


電化製品や内燃機関などはハナから買えない。

あと紙おむつも最初から止めた。

直ぐに品切で困る事に成ると思ったからだ。

ある意味便利過ぎるのは駄目だ。

自転車に関しては焼き入れ技術なんか剣であるし、難しいのはボールベアリングとゴムだろうか。

馬車が有るのでさほどでも無いと思っているけどね。


今の店の売り上げ上位のお菓子もプラスチック包装なんだけどなあ。

かさばらないから良いのかな?。

燃やすと縮んで臭いガスが出るけど、PSや塩ビ程有害じゃ無いしね。

それにこの店だけでしか買えない。

港の商業ギルドに卸そうとしたらイワレ様からストップされた。

よく考えたら紙おむつと同じだよね。

人気が出たら抑え切れない。

卸す量が大変な事になる。

この小さい店にさえあの町から峠を越えてわざわざ来る人がいるのだ。

それほどイヅモヤのお菓子はこの世界では美味しい。


イワレ様からペット禁止令が出て一月もすると風が涼しくなった。

前世では秋にあたる。

真冬でも10度くらいなので、前世の日本より温暖だ。雪も無いしね。


そんな涼しい風に呼ばれた様に、タバコのお客が来た。

「お久し振りです」

「いやあ、カンピー切れて王都の刻み買ったけど・・・無いわああれ。カンピーより高いくせに不味いわあ。で、カンピー恋しくここまで来たよ」

「有り難いと言うか申し訳ないと言うか、神様に卸しは禁止されてまして」

「そんな事で国王が仕置きされたら、わしら一族全滅じゃわい」

「まさか、あはは」

「いやいや、昔それで公爵家が全滅したのじゃ。だから今貴族を名乗るのは伯爵以下しかおらん。王族は滅んだからな」

「マジですか?」

「マジじゃ」

「・・・カンピー幾つになさります?」

「3つじゃ。それとな、チョコレート菓子幾つか欲しいのじゃが」

お孫さんへのお土産かな。

「それと船内で食べる何か無いかのう」

出航には一寸時間有るなあ。

弁当では少しヤバイかも。

「出るまで時間有りそうですので、菓子パンの類いが宜しいかと」

カタログで菓子パンのページをお見せする。

菓子パンと紙パックの飲み物を買ったタバコのお客様が何やら考えている。

「・・・妻にその、結婚記念日なので、何かアクセサリー贈りたいのじゃが、そんなのも有るかのう」

「いか程のご予算でしょうか?」

「金貨5枚ぐらいで頼む」

養殖真珠ネックレスの小粒でも50枚は要るのか、そう言えばウェステラさんには何もあげて無いなあ。

「カタログですとブローチ・イヤリング・留め具の飾り等に成りますが、宜しいですか?」

「うむ、中々良さそうなのが有るのうの」

大粒真珠のシックな髪留めをお買い上げいただいた。



それから身内でかのお客様は騒ぎに成った様だ。

タバコの価値は知っておられたが、真珠の価値はご存知無かったらしい。

養殖なので僕も気付かなかったが、あの大きさの真珠で金貨5枚は有り得なかったらしく、かのお客様は無駄遣いだと奥様に絞られたと。

後で聞いたけど、あんな大きさの真珠は滅多に採れなくて、金貨百枚はするらしい。

ヤバイな養殖真珠。

そう言えば・・・。



あれから五年・・・久々に流刑地に行ってみた。

そう養殖真珠の試し場だ。

昔はよく食糧の芋を運んだ島。

麦や米は豊作だし、柑橘類は特産品に引けを取らない。

養殖真珠はまだまだだった。

流石に当たり前か。

でも目を見張る。

それは幾つかの大粒真珠だった。

「未だ数は揃いませんね。それと時々貝がやられます」

「粒がバラつき形も良く有りません。残念ながら起業には時を要しますね」

養殖の責任者2人はそう言った。

けど僕は思う、これは近い将来この村の大きな糧に成る。

何故か確信がその時は持てた。

五年の成果としては格別に技術が高い真珠だと思ったからだ。

ミキモトって何年だっけ。

大粒と言ったけど形は半円で四年物で、ミキモトさんの足下にも及ばない。

当たり前だが、これは凄い事だと知っている。

五年で成せる技では無いのだ。


まさかそれが5年後に軌道に乗るなんて、この時は知るよしも無かった。

心の中でミキモトさんごめんねと、呟いたカルムだけども、この世の人はミキモトコウキチを知らない。


「あれ?、こないだ母にと思ってコインとパールネックレス交換したよ」

そのネックレスを見て僕はぎょっとした。

「駄目!、それ世に出しちゃ」

「何で?」

「ボイアットさんそれ、この世界には無いものだから」

「そっ、そうなのか?。知らなかった」

「下手すると殺し合いが起きる品物だから。金貨10000万枚は超えるから」

「カルム俺の天恵って、かなりヤバイな」

「僕のイヅモヤより、ある意味ヤバイです。」

確か前世では1万円以上の景品とは交換不可だったと父さんが言ってた。

ボイアットさんのネックレスは養殖だろうけど、・・・・・100万円は超えてる。

この人あの後なんぼスロットルで出したのかな?。

恐ろしい天恵だよ全く。

しかも本人が価値を知らない。



そうスロットル機は嵌まるとヤバイ代物なのだ。

イゾンショウとか言うらしい。

ただボイアットさんは天恵で超レア役を引きまくるのだ。

だって一回転目で中段チェリー引いてた。後でボイアットさんに聞いたけど神揃い並みに凄い役とか。

???神揃いって何。



前世のお父さん貴方はパチンコ屋通い止めて正解でした。

父さんには天恵は有りませんでしたよ、世の中の引き強者は理不尽です。

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