第33話衛士さんの天恵は何ですか?。
交代で王都から二十代半ばの衛士さんがやって来た。
前から家庭の事情で王都へ帰らないといけない衛士さんがいたからだ。
因に転移魔法を習得したので、そちらの魔法で王都まで、その衛士さんは送ってあげました。
魔道具出すより楽だわ …これ。
新しくいらした衛士さんの、天恵は何か聞いても良いですか?。
そう訪ねると、ボイアット新任衛士さんは「構いませんよ」と言ってくれた。
「実は私の天恵の意味が誰にも解らなくて、仕方ないので衛士に応募したんですよ」
「えっ、わからないんですか?」
「ええ、意味不明ですね未だに」
「何て名の天恵何ですか」
「スロプロって出ました」
「スロプロ?・・・・・」
「解んないでしょ」
「ほんの一抹だけなら心当たり有ります。でもそれはこの世界では使え無いのですけどね」
「それは初めて聞きますね。どんな物何ですか」
「賭け事の一種で、スロットルと言うのが有るのですが、この世界の物では無いです」
「プロの博徒って事ですか?」
「・・・まあ有り体に言えば」
「馬喰なら兎も角、博徒は駄目ですね」
「ですよねえ。でも何でそんな物が選ばれたんでしょうか?」
「もしかしてボイアットさんて異世界人ですか、あはは」
「・・・・・」
あれ?。
当たりか?。
「10歳より前の記憶が無いんだ」
「ええ、両親とか、どこで生まれたとかは?」
「全く。気が付いたら、王都の近くの村の門前で倒れていた」
「その村の養い親が良い人でな、今でもずっと仕送りしている」
「スロットルってどんな物なのかがいまいち理解出来ないなあ」
「お酒の樽が横に3つ並んでて、ぐるぐる回ってるのを想像して下さい。その樽には20個くらい絵が描いて有るとしますね。回ってるのを止めて樽の絵が3つ揃えば当たりみたいな感じです」
「手で止めたら揃うんじゃ無いか」
「もちろん自力で揃って止まる様にはして有りませんよ。確率の勝負ですね。魔法仕掛けのゲーム機と思ってください」
「うむ、でもどうやってそれで飯を食うんだ」
「・・・・・食えませんね」
「みたいだな」
本当にボイアットさんは転生者か転移者かも知れない。
待てよ?、僕のイヅモヤの様に、ボイアットさんの頭の中でスロットル機遊べるかも。
翌々日。
それを言うより早くボイアットさんがコインを見せにやって来た。
「カルム・・・スロットル機頭の中で回せたぞ。でもな・・・」
「解ります、そのコイン使えませんよね」
「ああ、でも良かった。これが金貨や銀貨だと人生が狂うかもな」
そう言って見せたコインは1万8000枚有った。
「昨日非番だから一日中やってたよ。使え無いコインなのに何やってんだろうな俺」
「頭の中で換金は」
「それ考えたけど無理だったぞ」
「じゃあ商品と交換は?」
「えっ、・・・ちょっと待て」
「・・・なんだこれ?。お店が有るど」
「もしかしてコインと交換出来るんじゃないですか」
「あー!」
それはイヅモヤでも取り扱いの無いコニャックの高級品だった。
「買えたと言うか出て来たぞ。コイン300枚で」
ウヰスキーやブランデー買った事が有るので、そのコニャックの美味しさは想像出来る。
「それ物凄く美味しいお酒ですよ」
「そうなのか?」
「コニャックって言うブランデーの高級ブランドです」
「コンニヤク?」
その日の晩はおでんになった。
まあ僕がイヅモヤでコンニヤクを買ったからね。
ただウェステラさんは困惑していた。(親父ギャグか!)
刺身コンニヤクは気に入ったみたいだけども、普通のコンニヤクは暫くつついて遊んでいた。
子供達が寝た頃に。
トクトクトク。
グラスにブランデーを注いで、ウェステラさんと晩酌をした。
「贅沢なお酒ね」
「たまには良いでしょ」
私を酔わして3人目御所望かしら。
違うけど・・・でも、その夜は夫婦の営みとなった。
あ~あ、朝ボイアットさんは頭を抱える。
非番の3人が陣屋の食堂で転がっていた。
コニャックの瓶と共に。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます