第10話価格が違い過ぎる物。
奥さんは暫く商業ギルドを休む。
育児休暇と言うやつだ。
それではと今日は奥さんの手料理で朝飯だった。
いつもは朝早いので僕が遠慮してイヅモヤで済ませていたから。
うん、これが王様の日常だね。
『違うぞ』
うん、空耳アワーだね。
『お前はタモリか』
「御免下さい」
「はーい」
『こいつ無視しゃーがった』
「あのうここ煙草有りますか?」
「あっ、たっ煙草ですか」
「やっぱり無理ですよね。王都迄我慢するか」
「一寸お待ちを」
流石に刻みは無いと思うけど、あれなら有るかな?。
「当店ではこれしか無いのですが」
缶ピースを出して封を切って蓋を開けた。
「これは、良い匂いがしますね。・・・?紙巻きですか、贅沢品ですな。おいくらですか」
「銅貨で6枚です」
「はあ・・・?」
「・・・?たっ高かったですか」
「いや、有り得んでしょ。貴方煙草普通いくらするとお考えで」
「すいません。なにぶん初めての商品な物で」
「でしょうな。この商品は初めて見ましたが、おそらく金貨3枚はするでしょうかね」
「えっ!、ええー」
「もしあと2缶有るのなら、金貨9枚で売って下さい」
「こっこちら私が開けてしまいましたので、金貨7枚でいかがでしょう」
「仕入れ値が有るでしょう。大丈夫ですか」
「はい、むしろ滅多に出ない物ですので、それで御願い致します」
それではと2缶奥で買って来て出した。
600円が七万円に化けた。
煙草売るのは止めとこう。
さっきの御客様とその伝の方は仕方無いけどね。
それでもお仲間の方の煙草の売り上げで毎月悠に暮らせる額に成ってしまったのだ。
缶ピー恐るべし。
そんな初夏の陽気が続くある日。
「御免下さい」
「はーい。どの様なご用品でしょうか」
「お酒有りますか」
「有りますけど・・・」いつもの焼酎では無いのかな?。
船乗りやこの村や町の人が買うのは主に焼酎(3リットル入り)だから、焼酎あるって聞くのだ。
奥から出したのは、ウィスキーにワイン・日本酒にビールそして梅酒だ。
余れば宿にあげるし、僕が呑むから問題無い。
どうも梅酒に興味を懐いたので、試飲にミニサイズの梅酒カップを飲ませたよ。
1リットル3本お買い上げ。
銀貨1枚だね。
チョーさんなので本当はもっと高いけどいいのだ。
だって他所には売って無いから。
でもお酒は割りとこの世界と近い価格だ。
まさかの物を所望された。
それは昼に来た客。
中年の綺麗な子連れの女性だった。お嬢ちゃんもお母さん似で可愛かった。
「ここ王様の店ですよね。貴方が王様ですか?」
「ええまあ」
うん、これ程軽い王様はいないよね。
「あのう~結構何でも有ると聞いて来たのですけど」
「何でもは無理ですよ」
「そうですよねえ」
「はいぃ」
「大粒真珠の止めピン何て有りませんよね」
「カフスやタイピンなら有りますよ」
「あはは、有るんですね」
「品揃えは店構えに合わず有るんですねこれが」
流石に買わずパンフレットを見せたけど、そのパンフレットに驚かれた。
「なななっ何ですのこれは」
「商品のご紹介パンフレットです」
「いや凄い細密で綺麗な絵ですよね」
「あっ、・・・ええまあ。あはは」
「これがいい」
ん?、お子さまが買うのかな。
「この可愛いいブローチの様な止めピンはおいくらですか」
「金貨1枚に成ります」
「・・・・・」
子供が母親の顔を見上げている。
「・・・・・」
「あの、どうかされました」
「もう一回言って頂けます」
「はい金貨1枚に成ります」
「嘘ですよね。私達この子の友達のお誕生日会に行く途中で、余り時間が有りませんのよ」
「えっと養殖の本真珠ですからこんなものかと」
「はっ、養殖?。何ですよの養殖って」
「アコヤガイに核を入れまして、数年掛けて育てると、その核に真珠が出来まして、大きな真珠に育ちます」
「・・・・・言ってる事がよく分かりませんが、本物の真珠ですよね」
「はい本物の養殖真珠なので、天然真珠より安いのです。あっ、畑で野菜を育てますよね。その真珠版とお考え下さい」
何とか納得して貰って金貨1枚払い、急いで港へ行った様だ。
・・・養殖と言う事を迂闊にも忘れて出してしまった。あはは。
だよな。
養殖真珠なんてこの世界に無いよな。
御客様は金貨百枚出そうとしたらしい。
重たいだろうに、よく持って歩くなあ。
ともあれあの娘が喜んでくれて良かったよ。
イワレ様に聞いてみた、ウェステラさんに装飾品買っても良いか。
百万円以内でって言われた。
取り合えず真珠の髪留めをプレゼントしたら叱られた。
贅沢品を買っては駄目って、ハリセンで叩かれた。
でももう買っちゃたので着けて貰っている。
何か気に入ってるし、叩かれ損じゃ無いかなあ。
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