第11話どこでもドア買ってみた。

今日は退屈だ。

そもそも客が来ない。

そう思い外の雨を眺めていると、ふと思いたった。

王都ってどんな所だろうな。

だいたい遠くの町なんて行った事が無いなあ。

どこでもドアなんてのが有ったら良いのに。


イヅモヤ覗いたら有ったよ。しかも実物大って?。これ、オモチャだよなあ。

神様ゴメン買っちゃった。

「王都へ!」

!?、見知らぬ町が目の前に。

えっ・・・。

「どうかされま・・・王都?」

どすっ。

後ろから覗いた衛士さんが腰を抜かしている。

「あの城壁王都なんですか?」

コク、コク。

衛士さんが首を縦に振る。

「衛士長さん呼んで貰えます。王都に行きたいので」

えっ!?。

「だから扉を通って王都へ行くんです」

はあ?。

「いやだから、あの城壁の町へ」

「ちょっとお待ちを、今呼んで参ります」


衛士長さんが来る前に、やってみる・・・「ポケットに収納」するとドアが僕の服のポケットに吸い込まれた。

「ドア」って言ってみたら目の前に出てきた。

ん?、僕のポケットって・・・何でもポケットに変わってる?。

『イワレ様・・・僕のポケットなんでもポケットに成ってませんか?』

『ばれたかな?』

『そりゃそうでしょ。こんなチート他に誰ができますかいな。良いのですかこれ』

『そうだね。どこでもドア買った付随だからね。アイテムボックス代わりに使って良いよ』

・・・オマケがなんでもポケットって凄過ぎる。

ぽか~んと別の衛士さんが見ていた。

そりゃ目の前でドアが出たり消えたりしたらね。


暫くして衛士長さんと魔法衛士さんが来た。

魔法衛士さん曰く、未だこの世界に転移魔法を使える人はいないらしい。

「大丈夫ですか?」

衛士長さんが言う。

「大丈夫です。イワレ様に聞きましたから」

「女神様のお墨付きですか。成る程」

「この扉は何処へでも行けますから、凄く楽しみです。先ずは王都へ行ってみましょう」


近衛隊士長だけ有って顔パスで入れた。そして最敬礼をしない約束で僕の身分は証された。門兵には流石に驚いた表情で見つめられたね。


市場へ真っ先に案内して貰う。

村には無い作物やら、種々雑多な物が売られている。

店構えの他に屋台やござを敷いただけの露店商もいる。

店構えと屋台は町の借用許可を得て借りる、町の所有物らしい。

ござをは許可申請すれば誰でも出せるらしい。場所は早い者勝ちだと言う。見ればちらほら空いていて、売れ行きも落ちる様だ。まあテキヤ扱いかな。


「面白そうですね。申請して少し露店商やって宜しいですか」

「あっ?、差し障りの無いもので御願いします」

衛士長さんに市場管理事務所に連れて行って貰った。

「国王様!、ですか」

「しっ、お静かに願います」

身分証明で近衛隊士長さんが秘かに、事務員さんに伝えたよ。

そりゃビックリだよね。


レジャーシートの大き目なのを買って広げた。もちろん背負って来たリュックから出した振りで。

お二人にも座って貰う。

先ずはお菓子類と、洗濯バサミ。

う~ん・・・お酒のパック瓶類。

100円ライターに・・・折り畳み傘。この辺にしとこ。

ご婦人に訪ねられた。

「これは何かを挟むものですか」

「はい、洗濯バサミです」

・・・売り切れた。流石に主婦は便利さに敏い。


「・・・・・これ酒かい?」

「はいそうですよ」

ウェステラさんに聞いたけど、ラベルにちゃんと国の酒税印が有ったらしく、違法にはならないとか。あれ?、どうなってんだろ。

「ちゃんと印があるね。初めて見るお酒だけど、どんな酒なの?」

印が有るんだ・・・。

「それはプラムをスピリッツと氷砂糖で一年ぐらい漬け込んだものです。甘くて美味しいですよ」

「えっ!、氷砂糖って。高いよなこの酒」

「2リットル入りで、1つ銀貨1枚です」

「そうなのか、じゃ1つくれ」

「まいどー」


お菓子類は試食に1つ開封しておいたら、瞬く間に売れた。

酒も無くなった。


さて、問題はライターと折り畳み傘だが。

ん~と、バサバサ。

カチッ、バッ!。

1つ広げていると。

「それ、傘ですか」

「ええ、小さめですが折り畳み傘ですよ」

「おっ、折り畳み?」

「ええ、こうやって、こうして、はいっと。どうです」

「くっ下さい」

「まいどー。銀貨1枚です」

「えっ!、ええー」

折り畳み傘が消えた。


ライター残ったなあ。

「カルムそれ何だ?」

「あっ、衛士長さん知らなかったのですか」

カチッ、ボッ!。

「おわっ!。えええー」

「簡単に火が着けられますよ」

ざわざわ、ざわざわ。

・・・カイジかよ。

ソッコーで売り切れました。

はい。


レジャーシートを収納して町の観光向かう。

粗方観光して再び門をくぐり村へ帰った。無論(どこでも)でね。


子供が生まれて少し成長したら、3人で新婚旅行に行きたいと衛士長さんに言ったら、解りました警護させて頂きますと了解して貰った。

でも無理だった。僕が2人目を仕込んでしまったから。

・・・だって、だってえー。

若いから。







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る