第9話境界の島。

隣村との境に湾に囲まれた島が有る。

この島は天然の風待ち港で、おそらくこの国一番安全な港だ。

ワダツミ島って名前なんだけど、どうもあの女神様の命名らしい。

・・・納得。


海の男が屯する島だけ有って、遊び女宿が多い。

これは古来より仕方の無い事だ。

荒れた日は酒を食らい女を抱く。

板一枚地獄の底で働く男にとって唯一楽しみと憩いの場で有る。

この遊郭は国にしっかり管理されていて、避妊や病気も蔓延していない。その類いの病人は隔離されるが、打ち捨てられる事は無い。

別の隔離島に移され過ごすが、それ以上人権を害される事も無い。

そこでは島の人々に手厚く介護されている。

国からお金が出ている療養所島なので、当然患者との性的接触は御法度だ。

主に彼女らは手厚く埋葬される。

人身売買が昔酷かったので、ヤミの遊び女宿が横行し、病気も蔓延していた頃、ある王様が議会に人身売買から遊女の管理を、国がしてしまえばかえって無くす事が出来るのではと、発案して議会で国法として制定されてからは、無慈悲な人身売買やヤミの遊び女宿が無くなったと言う。

ああ、そう言う提言も出来るのか成る程ね。

オランダの覗き窓みたい。

だよね、無理に押さえても、その道は絶つ事は出来ないよね。


ある日港の商業ギルドに行った時に、島に若い女の子を連れて行く役人に聞いたら、国の東の方は麦の育ちが悪く、数人程売られたと言ってた。

水利が不充分なのかと聞いたら、そうでも無くて、気候でも無いと言う。

急いで領主邸に赴き、議会に土地の輪作と肥料の改善案を出した。

肥料は店からかなりの量を凄く安く提供した。これは神様も許してくれるだろうな。

安くしてもそれはプロテクターの百倍にも及ぶ売り上げだった。

暫く肥料は神様カードでも売って貰えなかったけどね。もう近所に平謝りだったよ。王様なのに。


それからは暫く国の役人を呼んで、僕が買った農業の基礎本を書き写して貰った。

それで農業省に改革案を作って貰い、議会に働きかけた。

それはたった一年で大成果を生み出し、暫くは色々な役人に日本語の本を訳して写す作業に追われた。

楽に成ったのはまさかの日本語を覚えた役人がいて、5年後の事だった。

あれは助かった。

役人凄い。

その頃には2人目が産まれた。

途中で議員が1人亡くなり、議員の選出も報告した。

その時何故かイワレ様が、カツカレーを出してくれと言って持って帰った。

えっ!、食べるの?イワレ様。

般若姫を本を買って調べたら、ハンニョ池とかイワレの池なんかが出てきた。

イワレって偶然なのかな?。

ハリセンでひっぱたくイメージしか無いので、般若姫のイメージに笑ってしまう。ごめんなさい。



話は戻って、ウェステラさんが初めて身籠った時。

島に行っていいよってお金をくれたけどね。さすがに王の身分では行けないので断った。我慢しますよ。

ええ、ジイも秘かにしてるし。


トウモロコシに薩摩芋そしてジャガイモそれからソバ等の種や苗・種芋を買って増やしてみた。

領主様に献上して痩せた土地や寒冷地等に配って貰ったよ。

お礼を言った時、跪いたら逆に土下座されてしまった。

忘れてた自分が王様だって。


慣れねえー。





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