イワレ様落雁を速攻食べる。いや駄目ですよ今食べちゃ。何故じゃ供物であろうに。

色取り取りの花が咲く。

米粉・餅米粉・水飴・砂糖で固められたお菓子。

前世では盆菓子と教えられた。

だけど盆だけのお菓子では無い。

日保ちするので盆菓子としてお供えされるだけだ。


余り長く置くと流石に風味は損なわれる。

僕も御先祖様にお供えしたのだが。

「いや何速攻食べてるんですか」

『妾への供物ではないか、別に良かろう』

「いや御先祖様ヘの供物です」

『しかしここは妾を祀る神棚ではないか』

「そっ、それは・・・この世界には仏壇が無いからです」

『この世界ではお釈迦はオシャカに成ったからのう』

「いやオシャカ(壊れる)に成ったのでは無くて、存在して無いからです」

『この神棚は妾のじゃから、この菓子も妾のじゃ』モシャモシャ。

・・・・・「子供かよ(汗)」


仕方無いので、外の衛士さんの椅子の端にお供えした。

昼には消えていた。

「おじちゃんこれ美味しいね」

・・・「いやそこはお兄ちゃんね」

「って、ちゃう。何でお供え物食べてんの」

「えっ?。だって、綺麗なお姫様カットの女の人が、食べていいて」

「そうなんだ。ごめんね」

・・・お姫様カットって1人しかいねーえー。

お姫様カットって言葉教えたのはイワレ様しかいねーえー。


イヅモヤで小さい仏壇を買ったよ。

フンだ、これで流石のイワレ様も手は出すまい。何せあの御方も前世は日本人なのだから。飛鳥時代だけどね。オシャカじゃ無い、お釈迦様を知っておられるから大丈夫。

な、はず。きっと。


ほっ、流石に盆菓子は無事だった。

一週間供えたら僕が食べる野田阪神。

『なにローカルなダジャレ言うとるかのう』

「べっ別にいいでしょう。」

『その菓子もう無いのかえ』

「食べたいんですか?」

『無論じゃ』

仕方無いので一盛り買ってあげた。

「んっ?・・・、何でイワレ様はご自分で買われ無いのですか」

『天恵は上の神に申請してそなた等に与えるものじゃ。妾には無い』

「えっ、でも熊の着ぐるみとか」

『あれは妾の魔道具じゃ。最近着てくれぬから寂しいのじゃ』

「もしかして、セーラー服とスカートそれにコンパクトとかも?」

『無論じゃ。それに伴う変身ものう』

「あれ、あんたのせいかよ」

『そうじゃ喜べ』

喜べねえわ!!。


衛士さんの空いてる椅子で落雁を食べてたら、子供が欲しそうにしてたのであげた。

翌日何故か盆菓子(落雁)が沢山売れた。

珍しいお菓子だった様だ。


次の日、落雁を買いに来た客に作り方を聞かれた。

米粉や餅米の粉それらを水飴と砂糖で固めた物と教えた。勿論イヅモヤの本の知識で。

だって僕知らないもん。


落雁戦争は終結した。

流石に沢山食べる物では無い。

それにもう盆菓子は売って無い。

数ヶ月後にシャッセで名物のお菓子が売り出された。

バウンズセーラ・・・やな予感が。

二頭身のセーラー服にミニスカートの型菓子。

脚には脛毛がヒッシリ描かれていた。

「ヤメロオオオー」

僕はシャッセに向けて叫んだが、届く筈も無い。



流石技工士の町だけ有る。

綺麗だし、植物から取った色らしいよこれ。

可愛いわよね。

脚の脛毛が面白いね。

船旅のお客の声を聞いて。

僕は人知れず海に向かって(弾むように踊りながら)叫んだ。


「何でその形にするかーああぁ」



海に向かったのは。

なんちゃら青春の真似だ。

太陽野郎に成った気分だ。

・・・「やっぱりおじちゃんだな」





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