様子見。

1ヶ月してメイテルの様子見に出掛けた。


「こんな夜中に出るの?。ふわぁ」

「いやあ、今日は月が綺麗だから、幻想的だと思うよ」

今日も衛士さん3人と四女の構成で、違うのは神の船で山地越えで最短距離を行くのだ。

「転移で昼に行きゃあいいのに。お月見ってカルムの趣味?」

「悪いかよ」

「衛士さん達大~変」

「「「その様な事は有りませんよ」」」


月影のナポリを口ずさみながら、少し雲に隠れたり出たりする月や星を眺めつつ空を行く。

「音痴」

「くっ・・・」

「変わった歌ですね」

「森山加代子って知ってます?」

「いえ知りません」

そりゃそうだ衛士さんが知るわけ無い。

続けて歌うのは、白い蝶のサンバ・・・いや違う、禁じられた恋。

「森山違いだー」

「何を訳のわからん事を」

「加代子と良子の違いだー」

「駄目だこいつ」

四女の言葉を無視しつつ、「きんじられ~♬」。

すると四女がこの世界の歌を歌い出した。

・・・・・なんだ?、この娘めっちゃ歌が上手い。

パチパチ、パチパチ、拍手喝采。


ゆっくり二時間程月夜を堪能すると、ネフレ領ペルブルグの町へ着いた。


音痴と言われていじけつつ、街道脇で神の御船を異空間に仕舞い、夜が白み始めた時に門へ着いた。


「朝早くから御苦労様です」

門兵に言葉を掛けて身分証を見せ門を通る。

冒険者様に朝早くからやってる屋台で朝食を取った。


朝市で野菜等を見ると出来は良さそうだ。

領主邸で領主に挨拶をして、メイテルと領主を神の御船に乗せて、郊外の田畑を見回した。

「薩摩芋は順調そうですね」

「他の土地の半分ですが、ここでは前の倍に成りました」

「イモ類でそれなら他は大変ですね」

「それでも朝市でご覧に成られた様に大分数が増えて助かっております。これからも収穫量は増えて行くと思われますね」

「順調ですね。今度から年に4回視察します。大丈夫なら年に1度に変えますね」

「気を遣って頂き申し訳有りません」

「いえ、この地は餓死者が昔から多かった様なので、何とかしたかったんですよ」

そんなやり取りで視察は普通に順調に終わった。


「あの?、カルム様どちらに行かれるので」

「火山があれば地熱が有るので、温泉を探しています」

「温泉?ですか」

「はい、観光資源としても湯治場としても使えますから」


土魔法と技工スキルを駆使して、飲料水の井戸と温泉を掘り当てた。

高い木々は無いが草原地帯のど真ん中だ。

取り敢えず土魔法で建物などは建てておいた。

野生の小動物しかいないので、魔物なんかには襲われ無いだろう。

でも町から少し距離が有るかなあ。

そんなには栄え無いよなあ。

仕方無いそんなもんだね温泉地は。


その後道は出来ていたが、客足も疎らな秘湯扱いだった、町が大きく成るにつれて観光地に成ったけど、その頃にはウェステラさんも、子供達もいない時代と成っていた。

それと同時に辺りは豊かな麦が実る畑へと変貌していた。

まだメイテルの力が及ぶのは、長年事代主不在だったこの地に、新たに神が生まれたからだ。

メイテルと言う神がね。







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