またですか・・・。
「えっ、13歳なの。それで一年間旅を続けてるって。君凄いね」
「私何の能力も無くてそれで・・・」
「君の国にも天恵とかって降りるの?」
「もちろん降ります」
「君の天恵って、聞いてもいいかなあ」
「クロエです」
「ああクロエちゃんね。それで天恵はどんなの?」
「だからクロエです」
「えっ・・・、え~と。クロエが天恵・・・なの?。名前じゃ無くて」
「名前はメイテルですけど、天恵はクロエです」
前世では小学生4・5年くらいに見える可愛い少女は、その様に答えた。
因みにあの坑道トンネルを通って来たらしい。凄い!。
・・・・・「イワレ様聞こえたら、クロエが何か知っていますか」
『あ~、クロエねえ。大地と豊穣の神の別称で、お主と妾の前世のヨーロッパで広く使われる女性の名でも有るわな』
「それって、つまり・・・豊穣の神の名前って事ですよね」
『まあそうなるが・・・』
『・・・カルムよ、その天恵は神の名を載せておるから』
「この村より西に船を乗り継ぐと、アザールって町が有るのね。んで、それより歩いて10日程内陸部の山脈の切れ目辺りに、ネフレって子爵領がが有るんだけど、そこに住まないかなあメイテルちゃん」
「それはどうしてですか?」
「うん、それはね君の天恵が生かせるかも知れない所だからだよ」
「私の天恵がですか?」
「うん。君の天恵は大地の恵みの神らしくて、天恵って事代主の上の神が降すものだから、他の国でも有効らしいんだ。だからこの国の余り良くない土地に恵みをもたらして欲しい」
「私にそんな力有りませんよ?」
「う~ん。実はね神の冠名が有る天恵って、上の神の護符に相当するものらしいのね。だから実は凄い天恵なんだって」
「え~、でもこの一年間何の役にもたちませんでしたよ。わたし」
「・・・一年で土地が肥えたら誰も苦労しません。ましてや貴女はルベーラ国からツヴィース国を経て旅をしている。いくら護符が有っても無理と言うものです」
「私生活に必要な最低限の魔力しか無くて、冒険者のパーティーでも雑用しか無くて、魔物を倒す力も無いんです。そんな私が・・・」
「短距離と長距離走をるのでは力の使い方も、筋肉さえ違いますよね。魔力もそうらしいんですよ。だから貴女の魔力は持続性に優れてるってイワレ様がおっしゃっていました」
「持続性の魔力って有るんですか」
「有るんです」
またですか神様。
何でこの世界の言葉で天恵を出さないのですか?。
もう訳ワカメですよ。
でも良いのでしょうか、よその国の方を利用して。
えっ、この地に流れ着いたのだからこの国の民ですか、あっ、そうですか。
「あれ?、三女さんと旦那さんも来るんですか。旦那さんは非番ですよね」
「まだ結婚してないわよ」
「どうせするでしょ」
「まっ、まあね」
「俺は帰りは護衛を交代するからな」
面倒だけど道程と海路を覚えてもらう為に20日かけて行く。
「なっ、カルムさんて船主何ですか」
「ヘへヘ、良いでしょうこの船」
「貰い物だけどな」
何気に三女の旦那は口が悪い。
「空飛んでよ」
「ダメ、航路を覚えるのが目的」
「この娘が船操る訳じゃないでしょ」
「将来的には貸す事が有るから」
「「「「えっえー!!」」」」
「本質的にはその魔力が有るよ」
「「「「えっえー!!」」」」
コーラスか!。
例の船を出してアザールヘいざ出発。
「ここは?・・・」
「男の楽園です。風待ち潮待ちでは最良の港に成る島です」
「男の楽園?」
深く考えるなあ~。
その後普通に小さな港や村が続き、3日目にアザールの港に入った。
「停泊料は・・・!!消えた?」
「あっ、収納出来ますので、入港税だけ払います」
まり府の役人は目を白黒さしていたが、無視して行く事にする。
「・・・まっ魔法船。収納って」
港で人に神殿へ行く道を訪ねて、ノストワール神殿に着いた。
神殿に併設された食堂で昼飯を食べて、ノストワール像に祈りを捧げる。
食堂の隣の孤児院に挨拶をしてお菓子を一杯置いてアズールを出た。
忙しないけど目的地はまだ遠いから仕方無い。
何か?ノストワール様の像からメイテルちゃんへ、光が放たれた様な気がしたけど・・・まっ、いっか。
「あら~失敗したね」
「大丈夫ですよ私たちも衛士さんも夜営は慣れてますから」
「私なんかずっと野宿ですから」
「・・・僕、苦手ですから船で寝ません」
「なに言ってるんですか、船が陸に出せる訳無いじゃ・・・」
・・・メイテル?。
「駄目だよメイテルちゃん。カルムを普通のおっさんと思っちゃ」
「おっさんって言うな。いっ、一応国王なんだから」
「えっ?」
「「「へっ?「あっ」」んっ?」」
「もしかしてメイテルちゃん知らされて無いのかな?。カルムはねこれでも国王様なんだよ。スネゲミニスカートの」
「!!っ言うなあーァァァ~」
「あっ、この人形って」
「「「「持っとるんかーい」」」」
お金無いのに。
いちおう街道脇に見えぬ様に置いたけど、巨大過ぎて朝方には憲兵達に囲まれてた。
国王が憲兵に平謝りして説明する。と、言う珍事を後に旅をする。
まあ説明したのは衛士さんだけど。
この時僕がメイテルちゃんの名前に気付いていたら・・・。
まあ後の話。
「着きましたね。ここがネフレ領都ペルブルグですよ。僕の故郷です」
「えっ、旦那さんここの出だったんですか?」
「マダダンナジャ「そうですよ」ナイカラ」
衛士の〔旦那さん〕はそう答えた。
「ここの責任者は誰ですか?」
「一応税務官のネフレ子爵に成ります。マーチン伯爵様と一緒ですね」
「石造りだと千年持つんですね」
「マーチン伯爵邸もそうですが、昔の貴族邸は堅牢ですから」
「子爵様はやはり伯爵様より少し小振りに邸宅も成るんですね」
「いや経済力の差かな」
「あっ、土地が肥沃じゃ無いから」
「これはこれは、カルム国王様。ようこそお越し下さりました。私が税務官のネフレ・トリスタンダクーニャと申します。長いのでトリスとお呼びください」
「どうも、はじめましてカルムと申します。この度はこのメイテルと言う少女の事をお願いしたくて来ました」
「先程近衛兵士の方からお聞きしましたが、この町の住人に成るには何も異存は御座いません」
「ちょっと訳ありでして、護衛対象にして欲しいのですが」
その後云々かんぬんと説明をしたら、凄くびっくりされた。
当たり前だ、国宝級のスキルの持ち主なのだから。
「後々の御報告をお願いしてもよろしゅう御座いますか?」
「勿論です。国益に関する事ですし、私には御報告をする義務がございます」
その後メイテルを含めた僕達一行は、ネフレ領内を半月かけて見て廻ったけど、やはり作物の量は他所より少ない。
「原因はあの火山でしょうね」
「山脈が切れた峠の向かいの山はやはり火山でしたか」
「ええ、何千年か前には噴火していたそうで、ネフレ領は殆ど火山灰の積もった土地なんですよ」
「それって今後も噴火の恐れが有りますよね」
「そうですが、過去にここまで噴石や火砕流が届いた事は有りません」
今は火道が閉じているのでは無いかと子爵は説明してくれた。
その為地熱による蒸気やガスも確認されていないらしい。
これは掘れば温泉がそこかしこに出そうとこっそり僕は思った。
メイテルをネフレ子爵に預けて僕達は三女の転移魔法で村に戻った。
時々様子を見にペルブルグに行ったら、メイテルから旅の途中の食事が忘れられないと言われ、イヅモヤで天丼なんかを買ってあげた。
妹みたいで可愛いから許す。
十年後彼女の世話係の青年との結婚式に招待してもらった。
彼女の没後には国有数の穀倉地帯へとネフレ領は変貌を遂げていた。
彼女のクロエと言う特異スキルは子孫に少し受け継がれた様だ。
弱くでは有るがそれでも、事代主の護符か加護と言うレベルで有る。
天恵とは別に生まれつき所有しているらしい。
彼女がネフレ領で暮らし出して数年後、ギリシャ神話をイヅモヤで買って読んでたら・・・。
デーメーテルの別称がクロエと知った。
メイテル?。
メーテル?。
デーメーテル!?。
旦那様の名前はテツロウでは有りませんよ。
あっ、ダーリンでも無いからね。
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