第23話築港の新埠頭。

今日は前に貨物船が座礁した現場に行く事に成っている。

何でも新埠頭の落成式らしい。


前世でチッコウと言う名前は余り港には使われない。

勿論地名とかには有るよ。

築港って普通は(港)と言う名前に置き換えられるからだ。

漁船や貨物客船が着くのは港で有り、築港は一般的では無い。


築港って良いイメージを僕は前世で持っていない。

そしてここの築港もそうだった。

道もガタガタで、船は漁船すら停泊していない。

それは貨物船が座礁するほどの浅瀬だったからだ。


港を築いたけど、年々砂が運ばれ水深が浅く成ったのだ。

河口近くに造るとそうなる。

そして村の築港もそうだった。

港の役目を果たしていない。


それをこの前の座礁事件で、熊の着ぐるみによる魔法を使い、海底を沈下させたのを見て、商業ギルドからお願いされたのだ。


更に海底を沈下させ大型船を停泊させる事にすると言う。

それには問題がある。

土砂の流入を防ぐ為、波止を少し伸ばす事と道の整備そして、クレーンの様な建物を造る事だ。

だから埠頭の面積も広げ無いと駄目だ。


それで何度か魔法を使う為、築港に通っていた。

波の侵食具合を見る為、造っては様子見を繰り返したので、日にちが掛かった。

埠頭の先端には侵食防止に、並み消しブロックを魔法で置いた。

それは所謂テトラポット。

船着き場の反対にも置いて有る。

片方はどうしても土砂が堆積するので、大型船は入れないから仕方無い。


今まで大型船が寄港出来無かったが、これからは他国の船も寄れるらしい。

綺麗な港に生まれ変わった。

魚釣り場は一つ消えたけどね。


カルム埠頭って名前は流石に断ったのだけど、落成式で見事にそう命名されていた。

少し恥ずかしい。



スンボールって知らない国の大型船がカルム埠頭来ていた。

これは、築港の土魔法を応用して峠の道を広げたら、馬車が往き来する様に成ったからだ。

町との交易品には珍しい物が多かった。

もっとも積み荷を下ろしたらワダツミ島へ直ぐに向かった。

この村には宿が1つしか無いからね。

あの島には遊郭の他に普通の宿も多いのだ。


ある日峠にガードレールを造っていたら、カコを乗せた馬車が町へ行く為側を通った。

例の外国の船のカコだろう。

僕の姿を見て笑ってた。

良かった、ミニスカートにセーラー服で無くて。


夕方前に再度出会ったので、土魔法で出来た可愛い熊の置物をカコ達皆にあげた。

きょとんとしてたけどね。



あれから3ヶ月。

店にスンボールの船員さんが来たよ。

カコじゃ無くて船長さん。

熊の可愛い置物を売ってくれって。

いや、売り物じゃ無いから、決して売って無いからね。

販売促進品って言ったら、商品も買ってくれた。


僕は悪徳業者だろうか?。




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