ボクの世界には君だけでいい

ボクを見る目が怖かった。人とほんの少し違うだけで除外されてしまうこんな世の中が大嫌いだった。
だから必要のない眼鏡の奥に隠した。自分の大嫌いな目を。

夏休みに差し掛かり、バンドミュージックと読書に明け暮れる毎日。
積み上げていた本が無くなって、ボクは駅前の本屋へ出かけた。
広場で喧嘩をするカップルをよく見ると、彼女の方はクラスメイトの川上葵だった。
クラスの一軍女子という、最も関わってこなかった彼女は、彼氏と喧嘩の末に殴られてしまう。
ボクの方に向かって歩いてきた彼女とぶつかり、泣き出してしまう彼女への対応に困り果てていると通行人の視線はボクに集められた。
そんな視線が怖くて、彼女をカラオケボックスへ連れ込んだ。

助けられたと思った葵は恩返しのために別日にファミレスに誘ってきた。
ファミ…続きを読む